サントリーのシングルモルトが世界一のウィスキーとして選ばれたと新聞にあった。原料を選択して経費を掛けなければ可能なので決して驚かない。スコッチでそれほど余裕のある蒸留所など無いのではないか?
これがワインの醸造所とは異なるところである。ワインは自分の地所で自分の手で収穫して、醸造しない限り高級ではなくなる。一貫した仕事が必要だからである。どんなによいテロワーからでも葡萄が健康で熟成していなければ幾ら手を掛けても高品質のワインとはならない。
自身の土壌の葡萄であるから、摘み取り時期から最初の扱いまで全て管理して醸造が行えるのである。こうした状況はワインの特徴であって、毎年天候などによって変わるのがワインであって、同じ高品質のワインなど存在しないのである。
二十年ほど前までは、シングルモルトのスコッチがいつも、特に冬場は手元にあったのだが、最後に購入したのは何時のことだったろうか?思い出せない。一つには肥満ではなくなったので、強いアルコールで食後を洗い流す必要もなくなり、そもそも強いアルコールが必要でなくなったのである。
アルコール比で考えれば最高のスコッチやブランデーもワインに比較すると安価である。それでも水割りにしても強いアルコールを飲みつけると体に良くない。ワインは、葡萄以外の何物も使わずに飲み物となる自然食品の極地である。なるほど高級ワインは高価であるが、食事との相性や味覚の洗練ではこうした高アルコール飲料とは全く意味が異なるのである。
2014年の収穫について報告が続く。一つはザールのザールシュタイン醸造所からのもので、五週間も懸けて十月中旬まで摘み取り作業を続けたとある。つまりに続きの長雨の後まで収穫を見合わせたのがアルテレーベンのようだ。なんと糖比重が100を超えている。もはやドイツの一流醸造所やグローセスゲヴェクスではありえない高糖価である。今でもモーゼル流域は陽に恵まれなくて、細く青白く北国特有のリースリングを収穫していると信じている向きが少なくないが、この報告がその迷信を完全に覆している。
勿論貴腐を選り分けて摘み分け作業が必要になったというが、酸に関しては一切の記述がない。これではまるで酔っぱらいの強いアルコールを求めてしまう姿勢とほとんど変わりない。摘み分けをしても2013年や2012年とは違って大収穫だと喜んでいるのを読んで、全てを理解しなければ通ではない。明らかにコンセプトが間違いであり、たとえVDPの新しい格付けに順応してオルツヴァインなどを出してもその質やコンセプトがVDPとは益々離れつつあるのだ。五週間も懸けた理由に今年からオェクスロワ品種を初めて収穫したとか、もはやVDP入れ替え対象になるようなことを漏らしている。
一方、プァルツからはゲオルク・モスバッハ―醸造所の報告である。先ず一週間前の降雨の前に収穫を終えている。当然である。それで四週間目というから、摘み取りの始めは同じ週であったことを物語っている。開花が早かったから当然であり、それでも暑い夏と夜の冷えで問題ない収穫が出来て、黄金色の葡萄が摘み取れたということだ。その結果、2013年の魅力ある香味の効いた果実風味の弱いアルコールに比べて、柔らかな酸のハッキリした果実風味の2014年産となる。
巷で言われたような、赤ワイン葡萄畑のようなドロソフィアスズキー蠅の異常発生と被害はなかったようである。因みにこのショウジョウバエは、1910年代にカンザワさんやマツムラさんによって発見された種のようである。
参照:
門前の小僧、高級ワインを語る 2005-03-19 | ワイン
高品質にありがちな滑らかさ 2014-09-05 | 試飲百景
これがワインの醸造所とは異なるところである。ワインは自分の地所で自分の手で収穫して、醸造しない限り高級ではなくなる。一貫した仕事が必要だからである。どんなによいテロワーからでも葡萄が健康で熟成していなければ幾ら手を掛けても高品質のワインとはならない。
自身の土壌の葡萄であるから、摘み取り時期から最初の扱いまで全て管理して醸造が行えるのである。こうした状況はワインの特徴であって、毎年天候などによって変わるのがワインであって、同じ高品質のワインなど存在しないのである。
二十年ほど前までは、シングルモルトのスコッチがいつも、特に冬場は手元にあったのだが、最後に購入したのは何時のことだったろうか?思い出せない。一つには肥満ではなくなったので、強いアルコールで食後を洗い流す必要もなくなり、そもそも強いアルコールが必要でなくなったのである。
アルコール比で考えれば最高のスコッチやブランデーもワインに比較すると安価である。それでも水割りにしても強いアルコールを飲みつけると体に良くない。ワインは、葡萄以外の何物も使わずに飲み物となる自然食品の極地である。なるほど高級ワインは高価であるが、食事との相性や味覚の洗練ではこうした高アルコール飲料とは全く意味が異なるのである。
2014年の収穫について報告が続く。一つはザールのザールシュタイン醸造所からのもので、五週間も懸けて十月中旬まで摘み取り作業を続けたとある。つまりに続きの長雨の後まで収穫を見合わせたのがアルテレーベンのようだ。なんと糖比重が100を超えている。もはやドイツの一流醸造所やグローセスゲヴェクスではありえない高糖価である。今でもモーゼル流域は陽に恵まれなくて、細く青白く北国特有のリースリングを収穫していると信じている向きが少なくないが、この報告がその迷信を完全に覆している。
勿論貴腐を選り分けて摘み分け作業が必要になったというが、酸に関しては一切の記述がない。これではまるで酔っぱらいの強いアルコールを求めてしまう姿勢とほとんど変わりない。摘み分けをしても2013年や2012年とは違って大収穫だと喜んでいるのを読んで、全てを理解しなければ通ではない。明らかにコンセプトが間違いであり、たとえVDPの新しい格付けに順応してオルツヴァインなどを出してもその質やコンセプトがVDPとは益々離れつつあるのだ。五週間も懸けた理由に今年からオェクスロワ品種を初めて収穫したとか、もはやVDP入れ替え対象になるようなことを漏らしている。
一方、プァルツからはゲオルク・モスバッハ―醸造所の報告である。先ず一週間前の降雨の前に収穫を終えている。当然である。それで四週間目というから、摘み取りの始めは同じ週であったことを物語っている。開花が早かったから当然であり、それでも暑い夏と夜の冷えで問題ない収穫が出来て、黄金色の葡萄が摘み取れたということだ。その結果、2013年の魅力ある香味の効いた果実風味の弱いアルコールに比べて、柔らかな酸のハッキリした果実風味の2014年産となる。
巷で言われたような、赤ワイン葡萄畑のようなドロソフィアスズキー蠅の異常発生と被害はなかったようである。因みにこのショウジョウバエは、1910年代にカンザワさんやマツムラさんによって発見された種のようである。
参照:
門前の小僧、高級ワインを語る 2005-03-19 | ワイン
高品質にありがちな滑らかさ 2014-09-05 | 試飲百景