Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

湧き上がるような高揚感

2015-05-23 | 生活
肩の調子が悪くても、とても忙しいので合間を縫って一っ走りする。峠へと20分3250歩は低調で、週初めの疲れがまだ抜けていない感じである。新しい靴ではじめて走ったが、土踏まずが押されてしっくりこない。それでも足のグリップが素晴らしく、爪先の曲がるところが先寄りになる感じが明白で、速く走らせようとするのがよい。地面とのずれがない分、必ずこれで記録が出る筈だ。下りも足のパワーが必要になるが、以前のような腰や膝に負担が掛かる感じが無くなり、踏みしめる感じが強くてこれもよい。もう少し大事に使いたい。

急に忙しくなった原因は、月曜日のミュンヘンの初日が日曜日と勘違いしていて、いろいろと計画を微調整しなければならなくなったことである。そしてもう一月がついたのは、全く作曲家ツェルハの名が見つからなかったHPに三幕と明記されていて、どうも従来の二幕版ではなく補完版が上演されるようなのだ。これは正直驚いた。普通ならば補完完成者の名前とその旨が大きく示されていい筈なのだが、どうもウニバーザル出版社はこの三幕版を標準としてしまっているのかもしれない。1990年代にザルツブルクで体験したのは未完版であったので、いよいよこれではじめて補完版に接することになる。

そうなるとDLしていたヴォーカルスコアにはそれが無い。ルル組曲のフルスコアーをダウンロードして調べ始めたのだが、三幕の下調べはこれ以上は出来そうにも無い。代わりにブーレーズ指揮の補完版LPとそのシェロー演出の初演のVIDEOでお勉強する必要が出てきた。てっきり二幕版だと高を括っていたので少し疎かにしていたからだ。それでも生まれた一日の猶予は大きく、じっくりと時間を費やせる。それにしても、思ってもみなかった幻の三幕補筆のそれが体験できるとなると嬉しくて仕方が無い。

二幕の場面転換で、上昇から下降へと転換するわけだが、その効果は初めて完成版で統一感が表れるのだ。ベルクの十二音技法は、シェーンベルクやヴェーベルンのそれのように無調の延長ではなく、重なりの和音の威力に真価があると思うが、嘗ての多声音楽におけるデュファイやオケゲムに比べるとジャスカン・デュプレのように変拍子の使い方やその生き生きとした「アクセント」のつけ方は譬えようも無い愉楽の時を演出してくれる。

連休最終日で、国鉄の機関士ストライクがあり、アウトバーンは混雑が予想される。だから十分の余裕を持って動かなければいけないが、そこで体験できるだろうことを思うと、肩の痛みを圧して出かける意欲が湧き上がる。三幕版となるとその構造感もさておき、二回の休憩を挟んで時間的にも存分にベルクの達筆を体験できるとなると胸が躍るのだ。バイエルン放送クラシックが生中継する - HPに指揮者ペトレンコと演出家ツェルニアコフの決断と書いてあるので決して補筆版がミュンヘンでレパートリー化しているということではないようだ。



参照:
無用な台詞へのその視線 2015-05-21 | 文学・思想
腑分けの変態的な喜び 2015-04-22 | 音
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