Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

還元法は十五年も前のこと

2015-05-06 | 試飲百景
丸山の戦後の講演内容を読んでいる。論文とは違い内容と本人の趣旨というかその話しての立場が見えるようでとても面白い。戦中戦後の視座をそこから見て取れるだろう。

久しぶりにミュラーカトワール醸造所で個人消費者向きの試飲会が開かれた。月曜日の平日の午後であり、静かな雰囲気での試飲会であったが、それなりに味わえた。マンハイムの音楽学生がイタリアンバロックやバッハのチェロ組曲をバルコンで弾き鳴らす中での静かな午後であった。天気はよかったが午前中に走っていたので、些か身体に堪えた。

グーツリースリングは、2014年の特徴で濃くはあるのだが繊細さに欠けて、特別な魅力がないのは予想通りだった。オルツリースリングも酸が結構表面に出ていて、若すぎる特徴が表れていた。ハールトの方は秋になるとやや重い感じがするのだが、早い時期には酸が前にはだかっているので酸に重みがある。ギメルディンゲンの方は、いつもの柑橘系の酸であるが、薄っぺらさは否めない。

それに続くビュルガーガルテンは流石に複雑だ。こうして比較すると全く違うのである。秋の試飲ではこうした旨さが感じられないのは産が引っ込んでしまっているからだろうか?それとも2014年の気候がこの土壌にあっていたのか?確かに軽さのない土壌であるが、独特の土壌感はある意味マンデルガルテンなどにも似ているが、複雑さは面白い。

これについて、親方に尋ねると、2014年はそれほど多くの醸造所が成功している訳ではないと、グーツリースリングの下のリッターワインのキュヴェーからして手づみで収穫しているというのだ。これには大変驚いたが、全体の出荷量を落として質を保とうとすれば信じられないわけではない。そして、もう一つ上のヘーレンレッテンと価格は2ユーロ安くとも質は変わらないというのだ。そして木樽を使わないながらも、十分に酸化させていて、十分に現代的なリースリングとなっていることを自負していた。「還元法は15年前のもの」だというのはっとした。シュヴァルツ親方が辞めたときだ。

2013年のグロースゲヴェックス「ブロイエル」も秋に試飲したときよりも大分良くなっていた。これも出来のよさが示されていて、この醸造所が実は知らないうちに、嘗ての栄光時代のそれを飛び越えてしまっていることに気がつくのだ。



参照:
プロダクトバイ耕作者 2015-04-27 | 試飲百景
偽善に満ち溢れたこの世 2015-04-20 | 雑感
コメント
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