Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

デキャンテ―ションしようよ

2015-10-27 | 試飲百景
午後には試飲会に出かけた。今年最後になるだろうか。ミュラーカトワール醸造所である。前日にネットを覗くと、ここでけなすことばかりの英国人ピゴ・シュテュワートが書いてあるものが目に入った。どうせくだらないことを書いているのだろうと思うと、春に試飲していて、私と殆ど同等の感想が綴ってあった。要するに、ビュルガーガルテン、ヘーレンレッテンなどに見る2014年産の出来はドイツで注目されるに当たるということだ。

特に上手に表現していたのはヨード味のビュルガーガルテンのミネラルの表現と飲み頃に関する記述で、私と同じように熟成を期待する旨の言及である。これは我が意を得たりだったので、直接其のことなどをマイスターに話してみた。写真まで写されて、取材はされていたわけだが、BLOGに書いてあることを読んでいたかどうかは確認できなかったが、どうもやはり専門家はこの英国人の評価をあまり信用していないような印象を受けた。これもわたしと同じで、この物書きがまともなことを書いていることは殆ど無いからだ。

そして、飲み頃や熟成に関しては若干異なる感じをマイスター自体は持っているのを感じた。先ずはっきりしていることは、必ずしもこのリースリングが開いているが、更に開いていくという意識は持っていないようだった。

実際に、ビュルガーガルテンのこれとグローセスゲヴェックスの「イムブロイメル」を比較した時に、やはり後者のミネラルや酸や香りなどは明らかに鮮やかだ。そしてアルコールの13%がとても軽く感じる。これを本人に話すともともと比重の高いリースリングは過去のものだとなるのだが、個人的にはこの軽やかさこそがここのリースリングに求められたものだ。理由はビュルガーガルテンの土壌自体が重いからである。

そして2014年はプファルツのみならずナーヘやザール、ラインガウなどどこも果実風味よりもミネラルの年度であったことになる。つまり、リースリング通にはうけるのだが、大衆にはあまり美味しいとは思われないかもしれない。2013年も明らかにハーブ香や香味の年であった。なるほど2014年の方はボディー感があるので本格的なリースリングとなるが、2013年のような香りには乏しい。

それ故に我々は瓶熟成すると開いてくると期待しているのだ。若干鼻をつまんだ感じのリースリングであるが、これで終わるはずがないというのが愛好家の気持ちである。今回の試飲で確認したかったこともそこにあって、同時にご進物用のものを頼まれたので見ず知らずの人にも勧められるものかどうかが課題であった。

グローセスゲヴェックスは予想外に繊細で、これで決まったと思ったが、顧客さんの各々に聞くと、やはりビュルガーガルテンに人気があった。酸が静かで落ち着ている分、酸が前面に出るヘッレンレッテンの方に軍配を上げる向きもあった。しかし個人的には深みと落ち着きがここのリースリング土壌の特徴であり、18ユーロとなるとキードリィヒャーやフォムブントザントシュタインなどの二年かけた瓶熟成の方を取る。酸が丸くなっていくだけの熟成はいただけないのである。

そして最終的には、予定通りグローセスゲヴェックスをご進物にした。決め手は皆がまだ飲み頃ではないというからだ。その中には、ビュルガーガルテンを新鮮なときに飲み干すという人もいたので、要するにミネラルとかそうしたものに無頓着な顧客も交じっている。つまりご進物で貰った人がリースリング通ならば飲み頃を考えるか、マイスターが言うように「試してみるのもよいだろう」ということになる。そして、早くクリスマスにでも開けようとするとするならば、マイスターのお勧めで「デキャンテーション」させるように言づけるのだ ― ナーヘのデンオッフ醸造所のようにクリスマスに飲めるというような早飲みのグローセスゲヴェックスはプファルツにはなかなかないだろう。2014年者は木樽は使っていないようだが、これだけでリースリングのグローセスゲヴェックスに対する意識が誰にでも生じる筈だ。VDP会長自称スポークスマンとしてはこれで満足である。グローセスゲヴェックスを自分用と合わせて八本、ブリュガーガルテンを四本追加購入した。



参照:
還元法は十五年も前のこと 2015-05-06 | 試飲百景
石橋を叩いての樽試飲 2015-06-08 | 試飲百景
猛暑が予想される今日この頃 2015-07-01 | 暦
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