朝早くからパン屋に行って、峠登りをしてきた。急いで帰ってから録音の準備をしなければいけなかったからだ。森の中は摂氏二桁へと至るほどの気温だったが、陽射しが無くそれほどではなかった。前回よりも足の調子は良く、もう一息である。下りでも足首を捻りそうになったが、少しならばこらえれるように力が入るようになってきた。往復で34分台に戻った。但し上りで20分は切れなかった。確りと汗を掻いた。
戻って来てから、シャワー浴びて、朝食をしながら、ネット放送の録音の準備を整えたが、結局MP3をDLするにはワークステーションでもよいと思って、そちらで試すうちに演奏会開始が迫って来た。ヴィーンの楽友協会の黄金のホールからの第五回ニコライコンサート中継は11時過ぎからである。
何とか間に合わせて、DLした楽譜をノートブックで開く。予想通りに、ヴィーナーフィルハーモニカーの音出しが重い。いつものように可成り危うそうな始まりであったが、中々興味深いフェリックス・バルトロディ・メンデルスゾーンの交響曲三番イ短調「スコットランド」の演奏だった。この曲を中心に大分練習したのだろう。座付管弦楽団にとっての余興のような風には全く行きそうにない。丁寧に音価をしっかり取って演奏すると、今までの軽快な流線型のメンデルスゾーンの音楽は一体何なんだったろうと思わせる ― フォン・カラヤン時代以降からの要するにナチ化のフィルターを通した二十世紀後半の傾向であった。
ミュンヘンでの演奏評などを読むと、今まで聞いたことも無いような「クラシック」な演奏というようなことが書いてあって、「ロマンティック」と考えていたのは全く違っていたというような二流新聞があったが、嘗てのゲヴァントハウス交響楽団などがドイツ風に響かしていただろうと思わせるメンデルスゾーン解釈で、寧ろ「伝統的」とも言い換えられる。このような譜読みをすれば創作が、メンデルスゾーンが、しっかりと中央ドイツつまり啓蒙ドイツの中央に音響的にも確りと綺麗に収まる。一曲目からのデビュー指揮者への大喝采は当然であろう。その他とても長いリタルタンドなど、なるほどと思わせる譜読みである。
20分の休憩中に早速そのMP3をHiFi装置で聞き直すと、いま一つ音質が冴えない、そこで気が付いたのは、もしかするとリンクのMP3をDLするのではなく、通常のWEBRADIOから平行していつものように録音してみようと思った。急いで準備して両方の方法で録音してみる。
さて第二部である。第一部でも技術的に管弦楽団の限界を見せていたように、後半のグスタフ・マーラー作曲「大地の歌」では管弦楽団の能力不足が顕著であった。イングリッシュホルンをはじめ木管も金管類も通常の楽器とは違うことを考慮しても到底超一流交響楽団の技術レベルではないことがよく分かる。いつもの調子でオペラの奈落でかのように演奏すれば、舞台の上でも上手に誤魔化しで済んでしまうのだが、徹底的に譜面の音符を丁寧に音化しようとすると大変厳しそうである。昔、指揮者チェリビダッケが語っていたように、「なにを演奏しても同じようにしか弾けない」というのは今でも変わらないだろう。そもそも公務の夜のお勤めとお勤めの間に余興で活動している管弦楽団活動であるからそれ以上はどうしようもないだろう。
それでも今まで以上にこの指揮者がどのようなグスタフ・マーラー像を提示するのかが分かる演奏だった。特に内示されている動機類を楽譜通りに強調することなく鳴らすことで、その音楽構造が明示される。それと同時に、通常は拍節の弱起つまりアウフタクトの強調で、なにもヴィーン訛りだけでなく、それらしく独墺音楽として流してきたものが、この指揮者の手に掛かるとそのロシア的な特徴という訳でもなく弱拍においても楽譜に忠実に音楽がされることで、可能な限り精妙に演奏しないと表現不能になるのである。ヴィーナーフィルハーモニカ―がここまで横着でいい加減な演奏をしているかというのがあからさまになってしまうのだ。もしかすると会場に押し掛けた常連の聴衆は、第二部でそのことに気が付かされて愕然としたのではなかろうか?オーストリアの放送局のナレーションも盛んに「尋常ならざる精密な練習」を要求すると繰り返しているのは、フィルハーモニカ―が音をあげたということだろう。
さて、録音の方はやはりMP3でない方がましのようで、もしかするとドルビーサウンド程度の音質で録れたのではなかろうか?転送速度は最低170kbs以上出ていてもしかすると190kbsに近いのかもしれない。残念ながらメンデルスゾーンの方はMP3でしか録らなかった ― 調べてみると上のリンクで録音が残っていたので試しにもう一度DLし直した。結局日曜日をこれに費やしたが、価値は十分にあった。これで大体分かった。キリル・ペトレンコがコンサートにおいてどの程度の要求をしているかがである。管弦楽団が出来れば出来るほど、その意思は初めて音化されるということである。ヴィーナーフィルハーモニカーの弦楽陣がもう少し弾けていたら、幾らかは本領を発揮できたと思うと残念だった。
参照:
BGM程度に聞いてみる 2016-04-03 | 生活
復活祭音楽祭ペトレンコ登場 2016-03-19 | 雑感
MP3で試聴する更年期状態 2015-07-28 | テクニック
戻って来てから、シャワー浴びて、朝食をしながら、ネット放送の録音の準備を整えたが、結局MP3をDLするにはワークステーションでもよいと思って、そちらで試すうちに演奏会開始が迫って来た。ヴィーンの楽友協会の黄金のホールからの第五回ニコライコンサート中継は11時過ぎからである。
何とか間に合わせて、DLした楽譜をノートブックで開く。予想通りに、ヴィーナーフィルハーモニカーの音出しが重い。いつものように可成り危うそうな始まりであったが、中々興味深いフェリックス・バルトロディ・メンデルスゾーンの交響曲三番イ短調「スコットランド」の演奏だった。この曲を中心に大分練習したのだろう。座付管弦楽団にとっての余興のような風には全く行きそうにない。丁寧に音価をしっかり取って演奏すると、今までの軽快な流線型のメンデルスゾーンの音楽は一体何なんだったろうと思わせる ― フォン・カラヤン時代以降からの要するにナチ化のフィルターを通した二十世紀後半の傾向であった。
ミュンヘンでの演奏評などを読むと、今まで聞いたことも無いような「クラシック」な演奏というようなことが書いてあって、「ロマンティック」と考えていたのは全く違っていたというような二流新聞があったが、嘗てのゲヴァントハウス交響楽団などがドイツ風に響かしていただろうと思わせるメンデルスゾーン解釈で、寧ろ「伝統的」とも言い換えられる。このような譜読みをすれば創作が、メンデルスゾーンが、しっかりと中央ドイツつまり啓蒙ドイツの中央に音響的にも確りと綺麗に収まる。一曲目からのデビュー指揮者への大喝采は当然であろう。その他とても長いリタルタンドなど、なるほどと思わせる譜読みである。
20分の休憩中に早速そのMP3をHiFi装置で聞き直すと、いま一つ音質が冴えない、そこで気が付いたのは、もしかするとリンクのMP3をDLするのではなく、通常のWEBRADIOから平行していつものように録音してみようと思った。急いで準備して両方の方法で録音してみる。
さて第二部である。第一部でも技術的に管弦楽団の限界を見せていたように、後半のグスタフ・マーラー作曲「大地の歌」では管弦楽団の能力不足が顕著であった。イングリッシュホルンをはじめ木管も金管類も通常の楽器とは違うことを考慮しても到底超一流交響楽団の技術レベルではないことがよく分かる。いつもの調子でオペラの奈落でかのように演奏すれば、舞台の上でも上手に誤魔化しで済んでしまうのだが、徹底的に譜面の音符を丁寧に音化しようとすると大変厳しそうである。昔、指揮者チェリビダッケが語っていたように、「なにを演奏しても同じようにしか弾けない」というのは今でも変わらないだろう。そもそも公務の夜のお勤めとお勤めの間に余興で活動している管弦楽団活動であるからそれ以上はどうしようもないだろう。
それでも今まで以上にこの指揮者がどのようなグスタフ・マーラー像を提示するのかが分かる演奏だった。特に内示されている動機類を楽譜通りに強調することなく鳴らすことで、その音楽構造が明示される。それと同時に、通常は拍節の弱起つまりアウフタクトの強調で、なにもヴィーン訛りだけでなく、それらしく独墺音楽として流してきたものが、この指揮者の手に掛かるとそのロシア的な特徴という訳でもなく弱拍においても楽譜に忠実に音楽がされることで、可能な限り精妙に演奏しないと表現不能になるのである。ヴィーナーフィルハーモニカ―がここまで横着でいい加減な演奏をしているかというのがあからさまになってしまうのだ。もしかすると会場に押し掛けた常連の聴衆は、第二部でそのことに気が付かされて愕然としたのではなかろうか?オーストリアの放送局のナレーションも盛んに「尋常ならざる精密な練習」を要求すると繰り返しているのは、フィルハーモニカ―が音をあげたということだろう。
さて、録音の方はやはりMP3でない方がましのようで、もしかするとドルビーサウンド程度の音質で録れたのではなかろうか?転送速度は最低170kbs以上出ていてもしかすると190kbsに近いのかもしれない。残念ながらメンデルスゾーンの方はMP3でしか録らなかった ― 調べてみると上のリンクで録音が残っていたので試しにもう一度DLし直した。結局日曜日をこれに費やしたが、価値は十分にあった。これで大体分かった。キリル・ペトレンコがコンサートにおいてどの程度の要求をしているかがである。管弦楽団が出来れば出来るほど、その意思は初めて音化されるということである。ヴィーナーフィルハーモニカーの弦楽陣がもう少し弾けていたら、幾らかは本領を発揮できたと思うと残念だった。
参照:
BGM程度に聞いてみる 2016-04-03 | 生活
復活祭音楽祭ペトレンコ登場 2016-03-19 | 雑感
MP3で試聴する更年期状態 2015-07-28 | テクニック