Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

先代からの大きな相続

2024-09-02 | 試飲百景
秋の試飲会第一号。今回は初めて世代替わりしてのグランクリュ試飲に申し込んだ。昨年は時間がなかったからだ。結論からすると、ゆっくりと味わえてよかった。20ユーロ取るのだが、先に予約していて、最終的には支払額は最小購入額200ユーロを超えので、最初からただ券を貰った。ただ券が好きなのだ。というか現金を持ち歩かない。

会場が新しい醸造蔵だったので響いてとても聴き取り難かったが、おやじさんとの差はスマートさで、偏屈さがないことだ。お爺さんが更に偏屈だったのは想像できるのだが、なんといってもおかあさんがワイン女王で超一流人と絡むぐらいだからやはり洗練されてくる。受け付けしていたのはどうも彼の奥さんのように思ったが、器量はおかあさんに劣るが、ぴちぴちしていてよかったのだろう。醸造所の付き合いも長くなると三代と付き合うようになるのが多くなってきた。そうなると余程跡継ぎに意欲がないとか馬鹿でない限り付き合いが続く。

ドイツで驚いたのはメルセデスのような古い巨大会社でもそういう関係がとても強く、丁度昔の船場などとの関係に似ていて驚くこともあった。要するに何代もの顧客関係が続くというものだ。要するに一見さんとはやはり付き合いが変わる。至極当然のことではないか。つまり経済合理性だけでははかれない社会が存続しているということでもある。

2023年のグローセスゲヴェックス「ガンツホルン」は思ったよりも閉じていて、問題になる還元臭がなかったが、その分水っぽく感じる程に閉じていた。理由は分からないのだが、可也果実を選定することで、過熟成の葡萄が取り除かれて、可也ハードテューンになったということがあり得るかもしれない。それは先代に比較して、洗練と同時に一種のファインテューニングになっているところにも通じる。

その対照として繋がる地所である「ゾンネンベルク」における貝殻石灰の独特なスモーキーさが素晴らしかった。隣のオヤジはその両方を選択していたのだが、石灰特有の賞味期限切れが早いことを質すと同意していた。

反対に酸が効いていい感じのロートリーゲンデス土壌の「カスターニアンブッシュ」のそれには還元臭の問題を感じたようで、それをどのように判断するかで評価が分かれたようだ。

先ずはともあれ最低限の本数だけは購入したので二年後ぐらいにどのように瓶熟成で開いてきているかで、その価値が決まるだろう。収穫量も少なかったようなので、価値はある。同時に酸もいい感じなので、それ程悪くはならない。急いで帰宅したので、先代とも本人とも話さなかったが、「とても価値のあるいいものを相続したね」と声を掛けたかった。

来週にはナーヘにも引き取りに行くつもりなので、陽が沈んでからグランクリュワインの先落としで別けて貰った6本のイ1本を開けてみようかと思う。週明けには残暑も夕立で徐々に秋らしくなりそうなので、愈々摘み取りも始まって、一挙に秋らしくなってくると思う。



参照:
分かるようになる話 2019-06-02 | 試飲百景
偽りの無い熟成過程 2024-01-04 | ワイン
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