Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

手かせ、口かせ、首かせ

2005-06-10 | 文化一般
ドイツ語の正書法についてとやかく言える筋合いでないが、巷の人間よりは気を使っている。自信がなければ必ずそのための辞書を紐解かなければならない。大抵は、新正書法に合わせたワードのオフィース・プログラムでチェック出来るのだが、疑問は十分に答えてくれない。その正書法の規則も何も疑問には答えるわけではないが、何らかの筋を与えてくれる。

今も使うが、ドイツ語独特の二つのS記号(ß)の使用も減った。基本的にはその前が短い母音の場合はSSと綴る事になったからである。以前の七ビット変換の電子メールなどでは、二重母音(Ä=AE, Ö=OE, Ü=UE)を含む特殊文字の制限は効果があった。マルチ言語のスイスでは全く使われないこれらの文字も、ドイツ語圏共同で決定した正書法では当然の事ながら残された。新しい名詞の動詞化による、「・・・する」言葉も制限された。また長い単語の分節法も、歌のアーティキュレーション宜しく、重要な改正点であった。

これらは、ある程度理解しやすいものであるが、必ずしも全てが受け入れられた訳ではなかった。この改正時に早くから反旗を揚げて、否応無しに新正書法に変換して三ヶ月も続かなかった新聞社もある。そして結局、一部が再修正されることになった。

改正から再改正は、子供や初学生のいる現場での混乱を招くだろうが、支持を得られない規約は意味を成さないので早めに修正した方が良い。反面、巷の人間はこれを教育されるだけで殆んど意思を持たない。そのような人達には、これは手かせにしか映らないものであろう。

先日見付けた、「葡萄泥棒はこうして罰せられる」の木像が面白かったので、再修正して掲載する。かせを嵌められて、口に葡萄を運ぶ事も出来ない。とどのつまり、口に何かを頬張れば物言う事が出来ず、正書法を知らねば物を書く事が出来ない。ベルリン統一後、家庭崩壊に伴うホームレスの少年少女が増え、さらに元々読み書きの出来ない移住者の子息も多く、ドイツの文盲率は文化国家としては十分に高い。
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6 コメント

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新正書法 (ゆみや)
2005-06-11 18:17:14
いままでのつづりは、たしか100年ぐらいまえに採用されたようですけど、それから100年たってまた手をくわえたということは、100年ごとに見なおしていくつもりなんでしょうかねえ。ゲルマン語は、英語をはじめとして、デンマーク語とか、けっこうつづりと発音の関係がひどいことになってますけど(オランダ語なんかもそうだったような…)、そのなかでは、ドイツ語はずいぶん《ちゃんと》してますね。ドイツ人らしいところなんでしょうか(オーストリア人・スイス人もいますけど)。



エスツェットのつかいかたは、今度のほうがわかりやすくなったので気にいっています。それにしても、単語の正書法だけじゃなくて、句読点のつかいかたまで事細かにきめてますね。これもドイツ人らしいのでしょうか。

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書きドイツ語を喋るねと (pfaelzerwein)
2005-06-12 05:21:08
ゆみやさん、コメントありがとうございます。私は詳しくはないのですが、句読点の使い方も確か再修正点だと思います。一部の句読点の省略は、分の「節度」を汚したように思うのですが。



エスツェットは、確か再修正されません。私は個人的にdaßが見やすくて好きだったのですが、これは問題ではありませんね。



デンマーク語、オランダ語ですか。なるほど。書き方と発音では違って来てますか。レトロマン語のサンモリッツで「あんたは書きドイツ語を喋るねと」言われた事があります。

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TBありがとうございます。 (stress83)
2005-06-12 11:18:58
TBありがとうございます。

正書法、とても大きな問題なんですね。

ドイツは元気に頑張っている、という認識しかなかったのですが、教育の根本の問題というのは、日本もドイツも、世界各国抱えているものなのですね。

どうもありがとうございました。
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「エリート」教育へ (pfaelzerwein)
2005-06-12 14:27:46
stress83さん、コメントありがとうございます。教育問題は社会問題だけでなくて、大きな問題ですね。



「識字率はほぼ100%」は間違いなく素晴らしい事ですが、「高等教育」が何の意味を持つかなどは大変疑問ですね。



現在こちらでは、「エリート」教育への議論がされています。



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問題は国それぞれに (やっとかめ)
2005-06-13 15:03:24
先日はコメントとトラックバックありがとうございました。



教育問題も国それぞれ違うようで大変興味深い記事ですね。

日本の場合は教育の問題だけなのでしょうか。

文字が読めても、それを活用しようという意識がないのでは……。



私はこちらのブログ的には馬鹿者ではないようで

安心しております。
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表現の可能性 (pfaelzerwein)
2005-06-14 13:59:14
やっとかめさん、こんにちは。



絵文字やら(笑)のお話も拝見しました。絵は元来独立していると思うのですが後者は、その表現が必要で強力ならば文法として扱われるものでしょうね。ネットで見ると少なくとも、学校で習った事の無い多くの日本語の書き方が見られます。決して否定的には思わないのですが、その雑多は日本文化の特徴のように感じています。こうして自身書いていても文法外れも多い訳で、古くても()-!?~#*などは何処までが正式な日本語の書き方なのか分からずに居ります。



これを視覚や認知と並んで表現の可能性として捉えると、仰るように、文章から何を受け取るかが問われているのでしょう。
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