とても真面目で、一生懸命な作品である。見ていて応援したくなるそんな作品だ。作者たちの芝居に対する素直な想いがストレートに溢れているのがいい。好感の持てる小品である。
植物人間になってしまった娘を甦らせるため、母親である植物学者は、植物の中にある命を娘の体につなぎ、生き返らせる。だが、彼女は植物の意思を持って目を覚ますから、本来の彼女ではない。なんだか、荒唐無稽なお話だが、作者たちの真剣さゆえ . . . 本文を読む
何度か『宮城野』は見たことがあるが、今回のようなアプローチは初めてだ。とても個性的で興味深い。藍田マリンさんのこの作品に対する読み込みが反映されているのだろう。それを演出の猪岡千亮さんがきちんと手助けして、見せてくれる。
主人公である宮城野という娼婦の造形がいい。自分勝手で思い込みが激しく、一歩間違うと、ただの勘違い女にすら成りかねないという、とてもあやうい女性として、設定されてある。彼女は . . . 本文を読む
瀬々敬久監督の『雷魚』を見た時の感動は生涯忘れられない。映画というものがこんなにも凄いものなのだということを今更ながら認識させられた。しかもそれがピンク映画の枠内で作られたものだったという事実もその衝撃をさらに大きいものにした。あまりのことに、その後何度もビデオでも見た。その度にこれが傑作であるという事実を再認識させられることになった。これほど繰り返し見た映画はない。きっと10回近く見たはずだ。 . . . 本文を読む
原色をベースにしたカラフルな世界はいつものサリngROCKの世界である。サイケで乱暴、なのに見事な統一感がとられている。だが、いつものそんな空間で、展開していくお話のほうは、なぜかドライブ感がない。いつもならここから大きくコースアウトしていく、という場面でなぜかそうならないまま、先に進んでいく。
日常のラインから大きく逸脱していく異形のものを描くサリngが、今回は、その日常というラインに踏み . . . 本文を読む