本町に新しいスタジオを構えたNGRが、その杮落としとして発表したのがこの作品だ。ここはキャパ30席のミニシアターだ。しかし、舞台と客席のバランスがいい。何よりもこの小空間が、きちんと劇場として機能している、という当たり前のことに感動した。これからもこの空間を有効利用して面白い企画を実践してもらいたい。
さて、芝居の方だが、きちんとこの空間用の芝居を作っている。NGRはテントでの . . . 本文を読む
当然のように公演タイトルは『真夜中にスピードをあげる』だと思っていた。だが、ある時気付く。ありえへん、と思う。このやけくそのようなタイトルのもとで描かれるこの芝居は、「真夜中」と「スピード」が逆転したところで生じる。このタイトルには確かな作者のねらいがあるのだが、それに気付かないまま、過ごす人もいるだろう。それもまたよしとする。それにしても、日本語としてこれはありえない。意味をなさない。
混 . . . 本文を読む
とてもよくできた短編集だ。きれいにオチがついていて、すっきりした気分で見終えることが出来る。いい気分にしてくれる。
よくわからない世界に迷い込み、その物語の中を旅して、現実世界に戻ってくる。お話の醍醐味を満喫させてくれる。一切美術も装置は使わない素舞台だ。役者たちの肉体と作者の想像力だけを武器にして世界を作り上げる。中途半端な妥協のないプロの仕事を見せてくれる。と、ここまで書いて、ちょっと褒 . . . 本文を読む
ホールの中に一歩足を踏み入れる。そこには使い古され、くたびれた古い箪笥や水屋が並んでいる。その箪笥や水屋によって出来た壁の裏側に客席がある。入り口に並んだ箪笥による壁の背中は舞台の背景になる。コンクリによりコーティングされている。客席の椅子はすべて別の形状だ。そこにはあらゆるタイプの椅子が並んでいる。2人、3人掛けのソファーもある。もっと早くに来ていたならふかふかのソファーを占用できたのに残念だ . . . 本文を読む
このへんてこな話って何だ?それをこんなにもあっさり見せて、さらりと終わらせる。それってとても面白い。(『ダージリン急行』よりずっと凄い)
この短さもいい。全体が130ページしかない。(本編が80ページで、外伝50ページ)これ以上やったらきっとぼろが出てくるか、しつこくなる。あれっ?って思わせといて、すぐひいていく。何が描かれていたのかよくわからないくらいに。そこがいい。
一瞬の出来事とし . . . 本文を読む
ウエス・アンダーソン監督の作品はおもしろいのだが、かなり微妙だ。おもしろいと思ったなら、確かにおもしろいのだが、何も感じないで終わらせたなら、何が何だかよくわからない、ということにもなりかねない。それはわかる人にはわかる、なんていうちょっとスノッブな感じ方ではなく、人様々なんで、感じない場合は何も思わない、という実に単純なことなのである。わからない人は鈍感だ、なんていうわけではない。現に僕も今回 . . . 本文を読む