習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『THE INVISIBLE 臨死』

2008-04-12 10:14:22 | 映画
 死んでしまう直前に人はその体から離れて、自分が生きていた世界を彷徨う。もちろんその姿は生きている人間には見えない。18歳の少年が主人公だ。彼は成績優秀で、親からも期待されている。しかし、彼は今まで本当の自分を一切出すことなく生きてきた。母の言うまま、これまで「いい子」できた。  そんな彼が初めて自分の意思で行動しようとした。家を出てロンドンに行く。自分のしたい生き方をする。その前日、彼は殺され . . . 本文を読む
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馳星周『約束の地で』

2008-04-12 09:49:49 | その他
 これは凄い小説だ。馳星周の数ある作品の中でも一等凄い。こういうなんでもないドラマを通して(この状況を「なんでもない」と書いてしまう僕も凄いが)世界の深淵をしっかり見せてしまう。そんぽ切り口の見事さ。ドキドキさせられる5編である。  和解することのない父と息子の人生の終わりを描く『ちりちりと』。母と娘の悪夢の日々を描く『みゃあ、みゃあ、みゃあ』。この2編はコインの裏表である。どちらも老いた父、母 . . . 本文を読む
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小川内初枝『うちへかえろう』

2008-04-12 09:28:00 | その他
 35歳。派遣社員。不備のあるクレジットカード申込利用者に電話をして、確認をとる。そんな仕事をしている。10数年前、恋人を寝取り行方をくらましていた姉の名前を利用者リストにみつける。なんとなく、姉に連絡をとる。  再会、和解、家族の再生。どうでもいいようなたいしたことがない、そんな小説である。話はとてもささやかだ。しかし、ここにある痛みは、こんなにも小さいからこそ胸に響く。  35年間生きてき . . . 本文を読む
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朝倉かすみ『田村はまだか』

2008-04-12 09:01:27 | その他
 小学校のクラス会。その流れで、とあるバーに集う5人の男女。28年振りの再会。今、40歳。それぞれ、人生なかばに達して、あの頃感じていた未来と現実とのギャップに戸惑いながら生きている。こんなはずではなかったと思う。しかし、半分諦めている部分もある。人生なんてこんなもの、なんてふうに。もうそれくらいの事を言ってもいいような年になってしまったということだ。  今日出席するはずだった同窓生が、ここに合 . . . 本文を読む
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