『THE INVISIBLE 臨死』

　死んでしまう直前に人はその体から離れて、自分が生きていた世界を彷徨う。もちろんその姿は生きている人間には見えない。１８歳の少年が主人公だ。彼は成績優秀で、親からも期待されている。しかし、彼は今まで本当の自分を一切出すことなく生きてきた。母の言うまま、これまで「いい子」できた。

　そんな彼が初めて自分の意思で行動しようとした。家を出てロンドンに行く。自分のしたい生き方をする。その前日、彼は殺される。（実際にはまだ死んでないけど、その命は風前の灯だ）

　少女は崩壊した家庭を持ち、そこで生き抜くため恐喝、強盗を繰り返す。おきまりの不良少女だ。彼女が、彼を刺した。

　青春映画である。この二人を主人公にして、彼が生き返ることが出来るのか、彼女はどうなるのか、が描かれる。もちろんサスペンスにもなっている。なかなか良く出来ていて退屈せずに最後まで見てしまった。

　こうして荒筋を書いてみるとなんだか、安っぽい映画に見えるが、そんなことはない。こういう未公開の地味だが丁寧に作られた映画に出逢うとなんだか嬉しい。でもこのタイトルではちょっと損している。もう少し内容とマッチした日本語タイトルをつけて欲しいものだ。