ひとりの女性の少女時代からスタートして、50年に及ぶ人生の物語を事細かに描いていく大長編。大河ドラマは数あれど、こんなにも何もないありきたりで普通の人の生涯を微に入り細に入り描くような小説はめったにない。もちろん波乱に富んだ人生の記録ではある。しかし、どんな人の人生だってこれくらいのドラマはある。ことさら小説にするほどのお話ではあるまい。もちろんだからこそ江國香織さんはこれを大長編として書こうと . . . 本文を読む
昨年のイヨネスコの『椅子』にも驚かされたが、今回もまた、見事に騙されてしまった。フェルナンド・アラバールの不条理劇『迷路』に挑戦した本作で杉原邦生さんはオリジナルにはない画期的な仕掛けを施した。
芝居が始まって30分くらいのところで、電気系統のトラブルが発生して芝居が中断する。照明機材の一部が作動しなくなったらしい。
僕は素直な正直者なので、完全に信じてしまった。だいたい芝居は生ものなの . . . 本文を読む
昨年IST【イスト】で上演された作品の再演である。寺山修司の作品をコラージュしたウォーリー木下の『書を捨てよ、町に出よう、とか』を原案にして、構成・楽曲・演出は佐藤香聲さんが担当した。今回のIST【イスト】回顧演劇展 op.2での上演で3度目となる。
毎回キャストに合わせて全体の構成を自由に変えていく。前回とは半分以上が変更されているが、全体の構成は変わらない。寺山修司の様々な言葉を引用し、 . . . 本文を読む
7年間ひきこもり続けた男が部屋を出て行く。この7年間世界と交通を絶ってこの部屋から出ないで過ごしてきた。その間に家の中では様々な事件があった。だが、彼は何も知らない。その日、マリリンと名付けたサボテンに牛乳をやるために、彼は部屋から足を一歩踏み出す。
山田将之さんによる一人芝居。作、演出はサリngROCK。彼女が3年前に自ら自作自演で作った芝居の再演。いつもの突劇金魚とは違ってとてもおとなし . . . 本文を読む