正直言うとちょっと乗り切れなかった。つまらないというわけではない。彼女にとっては切実な問題が描かれてあるのだろうが、読み手にそれが伝わりきらない。独りよがりすれすれのところで成立しているって感じだ。それは彼女の作家としての技術が拙いということではない。読者におもねるような書き方はしないからだ。そういう意味では潔い。
この町で育った3人の男女が主人公だ。彼らは一度はここから出て行こうとしたにも . . . 本文を読む
79年という時代背景は特別大事なものとは思えないが、丁寧にそこをスルーすることなく描いて見せようとした。そうすることで映画はたぶん2倍以上制作費がかさんだはずだ。だが、そこを現代に置き換えたりしたらこのお話自体が成立しない。そこを製作サイドは重視した。とても誠実だ。(でも、細部には現代そのままの部分もあるが)北九州市を舞台にしたことも、別にここでなくてはこのお話が成立しないというわけではないのだ . . . 本文を読む