来週くらいに映画を見るから、それから書こうと思ったけど、別に映画と小説は別個だし、映画の印象と絡めるつもりもないからさっさと書いておこう。初めて万城目さんの小説を読む。『鹿男あおによし』や『プリンセストヨトミ』とか避けていたわけではない。なんとなく【森見登美彦の偽者】みたいな印象が僕にはあって、あまり食指がそそられなかったのだ。
森見氏の新刊『恋文の技術』を読んだ後、偶然読む本がなくなった瞬 . . . 本文を読む
東直子さんの小説は淡い。輪郭さえおぼろだ。この小説だってそうだ。主人公の作家が同居している3人との関係が見えない。説明しないからだ。彼女はそんなんなことどうでもいいことだ、と思ってる。たぶん。
仮の家での生活が続き、でもいつまでもこのままではいけないと、新しい家を購入するのだが、その辺の事情もわからない。これも説明がないからだ。
なんでもない時間の積み重ねがここにはある。エッセイのような . . . 本文を読む
日本は海に囲まれた国だ。国内に国境線はない。だから、普段は隣接する国を意識することはない。西牟田靖さんが旅したこの国境の島のレポートは、普段は考えもしない外国と日本というものを考えさせられる。と、言っても自分が住んでいる大阪は国境の島とはほど遠い。あくまでもイメージでしか見えないものを西牟田さんが自分の目と足で体験してきてくれるのを書物を通して追体験するのだが。竹島や小笠原諸島、北方領土を描いた . . . 本文を読む
単純な話だと思う。ことさら凄いと、これを持ち上げるつもりはない。それどころか、あっけなさ過ぎて拍子抜けしたくらいだ。盛り上げるような手続きは一切しない。淡白すぎるくらいだ。だが、老境に達したイーストウッドが人生の最期の映画としてこの作品を選んだ(かもしれない)気持ちはなんだかとてもよくわかる。気がする。彼のことだから、まだ主役を張ってしまうかもしれない。もうすぐ80歳になるというのに、どうしてこ . . . 本文を読む