原作をそのまま映画にしたら、ちょっと長くなりそうなので、少しはしょってしまったが、その結果全く同じ内容なのに、つまらなくなってしまった。それっていったいどういうことなのか。ストーリーの改変は最小限に抑えているのに、しっくりいかない。もちろんこの題材なら当然2時間以内に収めるのが筋だ。しかも、この企画なら話を追うのは仕方ないし、ビジュアル重視も当然だ。だが、ラストでこんなにもいろんな意味でスケール . . . 本文を読む
瀬戸内海の美しいリゾートホテルを舞台にした3人の男女の物語は不思議な色合いのドラマを作る。お互いがどう出逢い、どう絡み合っていくか、ではなく、3人はただ別々の人間で、ひとりひとりには秘められたドラマがある。それが交錯して、新たなお話が生まれるというのが、普通の小説のパターンだろうが、この小説はその轍を踏まない。お互いは平行線をたどり、分かれていく。他人に対して簡単に心を開くことはない。たった5日 . . . 本文を読む
この結末には驚かされる。この手の小説でこういうパターンを持ってくることはない。よしもとばななだからこそ出来る業だ。こんなチープなラストは普通しない。日本の純文学界でこれを成し遂げたのは彼女が初めてではないか。画期的である。
北村薫が『ターン』や『スキップ』で仕掛けたトリックは最初からそういう発想でこの小説を見せます、という意思表示なので、驚かないが(それにあれらは純文学ではないし)よしもとば . . . 本文を読む