エミール・クストリッツアの最新作。今回も底抜けに楽しくて、でも、底に流れる深い悲しみをきちんと見つめた上で、こんなにもノーテンキにすら見えるコメディーに仕立てる。『アンダーグラウンド』以降彼は何かふっきれたように陽気である意味過激な映画を作る。スコセッシの『タクシードライバー』の引用(主人公2人がTVで夢中になって見る)はこの映画のテーマと重なりあう。まぁ、分かりきったことだが、この映画は重い話 . . . 本文を読む
『盆がえり』以来となる「おとなしい演劇」。この微妙なネーミングは実際のところはどうだか、とも思うが、劇団代表である寺田夢酔さんは気にしない。彼は自分たちの劇団の芝居に3つの大きな柱を用意し、これをそのひとつとしている。3つのジャンルはそれぞれ別方向を向いているように見えて、その実どれもがよろずやという集団の方向性を明確に示すものだ。それは単純なジャンル分けではなく、そういうコンセプトを与えること . . . 本文を読む
『サウンド・オブ・ミュージック』のロバート・ワイズ監督が今から30年前に作った超大作映画劇場版『スタートレック』は当時のファンを大いに失望させた。彼は69年制作のSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』に喧嘩を売ろうとしたからだ。思索的な映画なんか誰も期待しなかった。TVシリーズ『宇宙大作戦』の映画化はファンの長年の夢だったのに。あのドラマのテイストを生かすことなく、大作映画という枷の中で、『20 . . . 本文を読む
前作『僕の彼女はサイボーグ』と前後して作られたこの作品はいかにもクァク・ジエヨン監督らしい作品だ。映画自体はワイヤーアークを多用したアクション映画というスタイルの中で思いっきり暴走しており、作品としての完成度は低い。だが、今自分の殻を破るためにはこれくらいのはちゃめちゃな冒険をしなくては前には進めない、と判断したのではないか。
この2本の映画は彼のいつものスタンスを守りながらも、2つのジャン . . . 本文を読む