『サウンド・オブ・ミュージック』のロバート・ワイズ監督が今から30年前に作った超大作映画劇場版『スタートレック』は当時のファンを大いに失望させた。彼は69年制作のSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』に喧嘩を売ろうとしたからだ。思索的な映画なんか誰も期待しなかった。TVシリーズ『宇宙大作戦』の映画化はファンの長年の夢だったのに。あのドラマのテイストを生かすことなく、大作映画という枷の中で、『2001年宇宙の旅』への挑戦となったことはまるで意味のないことでしかなかった。
だから、その反省に基づき、第2作である『カーンの逆襲』は、TVシリーズのイメージを大切にしたタッチの軽いキャラクター重視という姿勢を示した。これはその後のこの映画シリーズに共通するものとなった。その結果、冒険の少ないTVファンのためのチープなTVシリーズ劇場版としての域を出ない作品となり、その後どんどん収縮して、消えてしまうという末路をたどったのだ。(とはいえ10本くらい連綿の作られた。最後の方はスタートレックシリーズであることを隠して公開された作品もある)
さて、久々にリメイクされた本作はオリジナルキャストを一新し、タイトルからサブタイトルを排した堂々たる大作である。だが、ストーリー自体はオリジナルテイストをふんだんに取り入れたもので、にも関わらずビギナーにとっても見やすいものとなっている。TVシリーズが始まるさらに前の時代を描く最近のハリウッド大作お得意のビギンングもの。若きカークやスポックたちの出会いの物語を、SFというよりも青春映画のスタイルで作りあげていく。そして、それだけではなく、ちゃんと年老いたレナード・ニモイを未来からやってきたスポック本人として登場させ、話をまとめていくというファン垂涎の出血大サービス。なのに、これが実におもしろい。
スピード感のあるストーリー展開とVFXの進歩によるより自然なファイトシーンを満載し、主人公2人の出会い、反目しながら友情を深めていくというおきまりのパターンをしっかり展開してくれる。
これ以上ありきたりはないというくらいにパターン化されたお話を堂々と見せることで、映画はみずみずしい力を持つこととなった。主人公のカーク役をマット・デイモンにオファーしたが、蹴られてしまって、新人を使ったのも結果としては吉と出た。まだ何者でもない青年が、傲慢にも周囲を巻き込んで、自己主張していく姿はマット・デイモンでは鼻持ちならないスターのわがままと見えてしまう。ただの青二才が演じるからこそおもしろいのだ。これがアメリカで大ヒットしたのもうなずける。
だから、その反省に基づき、第2作である『カーンの逆襲』は、TVシリーズのイメージを大切にしたタッチの軽いキャラクター重視という姿勢を示した。これはその後のこの映画シリーズに共通するものとなった。その結果、冒険の少ないTVファンのためのチープなTVシリーズ劇場版としての域を出ない作品となり、その後どんどん収縮して、消えてしまうという末路をたどったのだ。(とはいえ10本くらい連綿の作られた。最後の方はスタートレックシリーズであることを隠して公開された作品もある)
さて、久々にリメイクされた本作はオリジナルキャストを一新し、タイトルからサブタイトルを排した堂々たる大作である。だが、ストーリー自体はオリジナルテイストをふんだんに取り入れたもので、にも関わらずビギナーにとっても見やすいものとなっている。TVシリーズが始まるさらに前の時代を描く最近のハリウッド大作お得意のビギンングもの。若きカークやスポックたちの出会いの物語を、SFというよりも青春映画のスタイルで作りあげていく。そして、それだけではなく、ちゃんと年老いたレナード・ニモイを未来からやってきたスポック本人として登場させ、話をまとめていくというファン垂涎の出血大サービス。なのに、これが実におもしろい。
スピード感のあるストーリー展開とVFXの進歩によるより自然なファイトシーンを満載し、主人公2人の出会い、反目しながら友情を深めていくというおきまりのパターンをしっかり展開してくれる。
これ以上ありきたりはないというくらいにパターン化されたお話を堂々と見せることで、映画はみずみずしい力を持つこととなった。主人公のカーク役をマット・デイモンにオファーしたが、蹴られてしまって、新人を使ったのも結果としては吉と出た。まだ何者でもない青年が、傲慢にも周囲を巻き込んで、自己主張していく姿はマット・デイモンでは鼻持ちならないスターのわがままと見えてしまう。ただの青二才が演じるからこそおもしろいのだ。これがアメリカで大ヒットしたのもうなずける。