ポン・ジュノ監督最新作。『グエムル』以来の長編だ。『殺人の追憶』の流れを組むミステリーだが、当然単純な話ではない。知的障害を持つ息子を可愛がり、彼だけのために生きる母親が主人公である。冒頭の母親のダンスのシーンが凄い。荒涼とした野原で彼女が体をくねらせて踊りだす。その姿を延々と捉える。一体何が始まるのか、と思わせる。
兵役から戻り5年振りの映画出演となるウォンビンが息子を演じる。彼の小鹿のよ . . . 本文を読む
今回の『黄昏れる砂の城』は初演よりずっといい。アイホールの広い空間で、よりダイナミックに増幅された4人のダンサーによるアクロバチックな演技が作品世界を押し広げることになったからだろう。この作品を初めてロクソドンタで見た時、これのどこが泉鏡花なのかわからなかった。今回は最初からそういう先入観を持たずに見れたのもよかった。前回は、これが『春昼後刻』を原作にしているという前情報が規制になり、素直に作品 . . . 本文を読む
取り壊しの決まった団地。もう既に住人の引っ越しはすべて完了し、ここには誰ももういない。ある夫婦がここに戻ってくる。忘れ物を取りに来た。2人はここを出ると同時に離婚する。だが、夫にはためらいが残る。別れたくはない。この自分たちが住んでいた部屋に、なぜか今、ひとりの青年が住んでいる。彼はかって子ども時代にこの部屋で暮らしていたらしい。幸福な少年時代の思い出がここには詰まっている。今では壊れてしまった . . . 本文を読む