これについて書くのは難しい。どう書いたらいいのか、よくわからないからだ。
唐十郎の初期の傑作に深津篤史が挑む。桃園会による唐十郎なんて想像もつかない。だから、とても楽しみだった。深津演出でこの台本がどう料理されるのか。ドキドキした。派手なスペクタクルではないのは、わかっていた。だが、こんなにも、深津色の抑えられた芝居になっているなんて驚きだ。
でも、それは当然のことかもしれない。自分の世 . . . 本文を読む
前作『グラウンドの空』の続編だ。『バッテリー』と同じような話に見せかけて、実はまるで違うアプローチを試みている。このシリーズで彼女は一切試合をするシーンを描かない。ふたりの出会いを描く前作もそうだったが、本作は徹底している。
前作で、県大会に優勝した八森東中が、全国大会に出場するまでの日々が描かれる。期待と不安、憂鬱の日々がスケッチされていく。主人公の3人(ピッチャーの透哉、キャッチャーの瑞 . . . 本文を読む
寺山修司の『上海異人娼館 チャイナドール』を下敷きにしたオリジナル作品。あの映画自体が『O嬢の物語』を下敷きにしたものだが、この過激なタイトルとは裏腹に今回の佐藤香聲さんは、とてもソフトに、このハードになりそうな素材を扱う。
これは演劇ではなく、どちらかというとパフォーマンス作品なのだが、ここに展開するあやしい世界は、1920年代の上海の魔窟を思わせる。(もちろんそんなもの見たことないけど) . . . 本文を読む
やりたいことはわかるのだが、あまりにストレートすぎて、ちょっと困る。記憶を失った女性と、彼女の親友。閉鎖された教会を舞台にして、5年振りに再会した2人が、ここで過ごす時間が描かれる。
5年前、事故があった。ひとりの少女が死んだ。彼女の残したスケッチブックには、光が描かれている。だが、それは見えない。光を描きとめることは不可能だから、彼女は白紙のページを抱きしめる。少女は、なぜ、この教会に通っ . . . 本文を読む
作者(パスカル・ランベール)の意図は十分わかるのだが、はたしてこの方法が正しかったのか。延々と一人語りのように、一方的にののしる男。それを、ただ、受け止めるだけで、何も言わない女。それがなんと1時間続くのだ。正直言って、これは苦行だ。もちろん、後半は反対に女が反撃する。まだ、こちらのほうが、見ていてほっとする。感情的なのは同じなのだが、彼女のほうが、理性的に見える。相手を範疇に入れて話をするから . . . 本文を読む