フランソワ・オゾンの新作はなんともとんでもない内容で、あきれる。どん引きしてもいいような話だ。ありえない。でも、それをありえさせるのが、オゾンだ。しかも、それをユーモア交えて描く。なんだ、これは! と思う。
こんな話だ。国語教師が宿題に出した作文を読む。大多数は箸にも棒にもかからない駄文ばかりなのだが、その中にちょっと目を引くものがあった。彼はその生徒を個人的に呼び出し作文指導することになる . . . 本文を読む
キタモトさん久々のオリジナル台本による新作。これは『闇光る』からスタートした大阪南部の山あいの町、ツダを舞台にした連作の最新作でもある。
役場の3人が、ツダにある標高400メートルの雨恋山、その登山道の調査のためにやってきた。だが、途中で道に迷う。登山道は荒れ果てていて機能しない状態だったことも、影響した。1時間で山頂までいけるはずなのに、3時間半もかかった。ようやく山頂に辿り着いた時には、 . . . 本文を読む
久しぶりに犯友の野外劇を見た。とても懐かしくて優しい。そうそう、こういう感覚。なんだかいい気分。今の時代に失われつつある世界がここにはある。派手なスペクタクルではない。(昔の犯友はそうだったけど)とても地味でひそやかな世界だ。今の犯友が目指すのは、路地裏の人と人とが寄り添いながら生きている世界だ。それは劇場での公演も同じ。以前のような狂気は影を潜める。
とても丁寧に作られた路地裏の一角の風景 . . . 本文を読む
読む本がなくて、たまたま手に取った。刑務所から出てきた2人の女が、下町で(谷中)ひっそり暮らすさまを描いた中編連作スタイルの長編小説。4話からなるのだが、この感じならどこまでも続けられることができる。
7年間も服役していて、20代の大半を塀の中で過ごした芭子は、普通に社会生活が営めるかどうか、どきどきしている。過去を知られたくはないし、知られると、もうそこでは生きていけないと恐れる。祖母の残 . . . 本文を読む