「森見登美彦10年目の集大成」という、いかにも、なキャッチフレーズをつけられた最新作。直前に読んだ森見初の対談集『ぐるぐる問答』とセットで刊行された。新刊が待ちどおしかっただけに、ようやくしかも2冊同時で大喜び。
本作は5篇からの短編連作のようなスタイルになっている。ホラータッチの作品でかなり怖い。いつものユーモアは影を潜め、鞍馬の火祭の夜、行方不明になった女性を核にして、10年後、あの日の . . . 本文を読む
この圧倒的な情報量、その知的刺激の洪水。目まぐるしい展開。今と言う時代の怖さ。描かれるものは、テロ、戦争ということにとどまらない。2020年という時代設定も危うい。ほんの少し先の未来。いや、未来というより今の続きでしかない。というか、水面下で今起きている現実といっても誰も疑わない。
ラストの2022年の告発シーン(冒頭でも、ちらりと描かれる)もリアルだ。それにどれだけの意味があるか、なんて関 . . . 本文を読む
2010年の『汽車はふたたび故郷へ』以来となるイオセリアーニの久々の新作だ。前作は自伝的作品で情緒的な作品だったけど、今回はいつもの彼に戻ってノンシャランとした映画のようだ、と期待した。なのに、なんだかまるで乗れない。
映画はしりとりのような展開をする。あるエピソードのお尻で次のエピソードの人物が登場し、そちらにカメラがついていく、というパターンで次の話が、と、だらだらと流れていく。作品の態 . . . 本文を読む
快進撃を続ける園子温の新作は昨年の『新宿スワン』の続編。前作がヒットしたから二匹目のドジョウを求められた。で、もちろん引き受ける。やれるものならなんでもやる、というのが今の彼のスタンスなのだろう。オファーがあるなら力尽きるまでやってやろうじゃないか、という心意気で挑んだ(か、どうかは知らないけど)。で、玉砕している。
久々につまらない映画を見た。退屈すぎて途中からどうしようかと困った。しかも . . . 本文を読む
ティム・バートンの最新作はとてもチャーミングで切ない冒険物語だ。見る前はもっとかわいらしい童話のようなお話なのかと思っていたが、見始めてこれは少しようすが違うぞ、と思わされる。一見すると、よくあるような不思議な世界に迷い込みそこで暮らす奇妙なこどもたちと出会い一緒に過ごす心地のよい時間を描くのか、と思わせておいて、実はさにあらず。そこにとどまったりはしないのだ。現在から1943年のある日で時間が止 . . . 本文を読む
毎年1月広島で開催される都道府県対抗駅伝を舞台にした物語。福岡代表チームのメンバーの事前合宿(1泊2日)からスタートして出発の日、アップ、前夜、当日(1区から7区まで)、懇親会、帰郷という大会のすべてが描かれていくほんの数日間のお話。
7区間を走る7人のメンバー(中高生から大学生、社会人の混成チーム)にサポートメンバー、監督、コーチというその10数人を主人公にする。大会前後の数日のドキュメン . . . 本文を読む