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映画・演劇のレビュー

子手鞠るい『恋するからだ』

2007-12-09 17:10:46 | その他
 小手鞠るいの小説は、僕はこれで3作目。ちょっと軽すぎて読んだ後に何も残らない。口当たりは悪くないが、もう少し心にずしりと残るものが欲しい。今回はいつも以上にさらりと見せることを目指したのだろう。こういうライト・ノベルは免疫がないから、拒否反応を起こしそうなのだが、最後まで読めた。

 ハワイで暮らす日系の女の子アユの恋愛が描かれるのだが、何にも囚われず、自由奔放に生きている、はずが、本当は誰かに頼ってしまうのが怖い。誰かに構ってもらいたい、でも傷つきたくない。ポジティブに生きているつもりだが、ただ、自己防衛してるだけ。そんな、甘えた女の子が突っ張って生きてる姿をスケッチしていく。ひとりになるのが怖いから、ひとりで生きていこうとする。

 一緒にいても、全く愛し合っていないし、義務的に家族を演じているだけの両親に育てられたから、親たちへの失望から、結婚だけは絶対したくない、と思っている。恋人のシャークは好きだし、優しいが、彼を縛りたくないし、縛られたくない。中年の作家のギャレットに憧れるが、彼は自分を女とは扱ってくれない。

 まぁ、こんな感じのお話。よくある話だが、それをどれだけ気持ちよく描くのかが、ポイントだろう。本当の恋に目覚めたアユが素直になろうとするが、ここで当然のどんでん返しが用意される。正直言うとあまりに、単純で呆れた。だが、こういう小説が今はいいのだろうか。

 先に読んだ『エンキョリレンアイ』『空と海の出会う場所』も同じように、小説としては緩すぎて納得がいかない。なのに、なぜか読んでしまったのはなぜだろう?タイトルと装丁に騙されるからか。まぁ、1日の往復の電車で読めるからいいけど。

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