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映画・演劇のレビュー

『幸せのレシピ』

2007-10-04 00:01:10 | 映画
 別にどうってことない映画なのだが、ちょっと疲れた体には、こういう心優しいラブ・ストーリーは胸に沁みる。

 一人で突っ張って生きてるけど、なんだか少し寂しい。別に誰かに助けてもらいたいわけではない。立派に一人で生きていける。今までだってそうして生きてきた。これからだって大丈夫だ。だけど、近くに居てさりげなく支えてくれる。そんな人がいる。そして、その人が信じられると思ったとき、一緒に生きたっていいかな、と思う。この映画のヒロインだけでなく不特定多数の女性が、感じてるようなことが、この映画の基本ストーリーにはある。

 ゾーイは交通事故で母親を失いひとりぼっちになる。伯母のケイト(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は彼女を引き取り一緒に暮らすことになる。でも、母親代わりには当然なれない。今まで一人で生きてきた彼女は幼い姪をどう支えたらいいのか、わからない。シェフとして一流料理店を切り盛りしてきた。料理人としての腕には自信があるが、子供の世話はできない。そんな時、彼女の働く店に新しい料理人がやって来る。全く自分とは合わないタイプの男だ。彼の陽気なキャラクターが腹立たしい。でも、いつの間にか彼のペースに巻き込まれていく。頑なだった心を開いていく。

 こういうタイプの映画は今までも山盛りあった。だいたいこの映画のオリジナルとなったドイツ映画『マーサの幸せレシピ』も見ている。あまりに予定調和なこの映画なのに、素直に乗せられた。それは監督である『シャイン』のスコット・ヒックスの姿勢のせいだ。才気走ることもなく、端正に作る。大袈裟にも、ウエットにもならない。でも、ハリウッド映画らしい甘さは忘れない。とても匙加減が上手い。まるでこの映画のケイトが作る料理のように上品で美味しい。(食べたわけでもないくせに)なんでもない映画なのだが、とても後味がいい。見終えたら、ちょっぴり元気になれる。たまにはこんなハートウォーミングな映画もいい。

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