習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

Super Mountains CLUB『笑う彼等には福は来る!?』

2014-12-16 22:16:37 | 演劇
これはあんまりだ、と思った。お話としてリアリティがない。なさすぎ。そのいいかげんな展開は言語道断。説得力のかけらもないこのお話を大真面目に演じる。だが、彼らはなんだか楽しそうだ。虚構でしかない物語の世界を満喫しているみたいなのだ。何なんだ、この無邪気さは。見ながら、呆れるやら、笑えるやら。どうしたらいいのか、わからなくなる。

逃走中の銀行強盗とぶつかり、かばんを間違えられて、3億円を手にしてしまった5人。彼らがそのお金をねこばばしようとすることから起きるドタバタ騒動を描くコメディ作品。最初は『スタンダ・バイ・ミー』なのか、と思いながら見ていたけど、だんだんそういうものではなく、ただのバカバカしいシチュエーション・コメディだと、思うことにする。でも、結構本気みたい。自分たちが考えるお芝居を実現するため、一生懸命になっている。そんな姿が微笑ましい。これはこれで悪くないかも、と思う。

銭湯の女湯を覗くなんていうシーンから始まり、もうそこからドン引き(今時、そのシチュエーションってありますか?)なのだが、たまたま覗きをしてしまった小学生が逃げるうちにいろんな人たちと出会い、わけもわからないまま5人は走っていく。この5人組がどんどん走るオープニングは、なかなか快感。これはそこで出会った5人が大人になった後を描くお話なのだ。

大人になった彼らが、メンバーのひとりが結婚することになり、そのお祝いのため、久々に再会することになる。そこで、この3億円騒ぎに遭遇する。ありえないような大金を手にした彼らが、これから先の人生に思いをはせながらも、目の前にある現実の札束を、どうするか、考える。

パンフにあるストーリーは結構おもしろいのだが、実際の芝居はそういうことを描き切れていない。1999年と、8年後という明確な時代背景がそこには書かれてあるけど、見た芝居からはそういう時代を感じさせるものは描かれない。細部の書き込みがあれば、もっと面白くなったかもしれないのだが、目先のストーリーを追うことだけで手一杯になり、そこまでは気が回らない。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 万城目学『孫悟空出立』 | トップ | スアシ倶楽部『私はもう帰ら... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
松井麗子です。 (松井麗子)
2014-12-17 00:27:17
ありがとうごさいました。
勉強になります。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。