習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

PADassist『WONDERFUL DANGER』

2007-03-07 22:43:09 | 演劇
 お話のためのお話としての芝居、というのを久しぶりに見たなぁ。ちょっと困ったけどこれはこれで悪くない。もしかしたらこれが本来の芝居のあり方かも知れない。少なくとも一番最初の演劇はこういう形であっていい。舞台の上で、まず、お話を綴ること。そして、それを見せること。

 だけれども、なぜこんな話が生じることになったのか。登場人物の彼らは、どういう気持ちでこういう行動をするのか、といった素朴な疑問に対して作者が答えていく過程で、その芝居は本当の意味での芝居へと進化していくことになろう。この芝居はまだその前段階でしかない。

 この場所がいったいどういう意味をもつのか。この話を通して何を見せようとするのか。ストーリーテリングの面白さをきちんと観客に届けることができるのか。作品の完成度について考える前に、まだやるべき事がたくさんある。しかし、まずは自分たちが作った話を1時間半ほどのドラマとして、とりあえず見せれたところまでで大成功なのだろう。今はそれで満足していてもいい。

 酔っ払って結婚資金である100万円を盗まれた男が、彼女に顔向けできないから行方不明になり、犯人探しをする。昨夜のバーに行き、そこのマスターに絡むところから始まり、ここに集う人たちに助けられながら犯人を捕まえる、なんていうのが、とりあえずの話だ。このストーリーに何ら意味はない。

 話の辻褄あわせで手一杯になり、(それすら説得力ないが)リアリティーのかけらもない。せめて、心地よい場所としてこの空間を提示できたならいいのだが、それすら難しい。

 ただ、とても真面目にお芝居に取り組んでいる。その姿勢は好感が持てる。女の子たちもかわいいし、男の子たちも感じのいい子ばかりで、まるで高校演劇を見てるような気分にさせられた。

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