
伊坂幸太郎作家生活25周年記念作品らしい。だけどなんと100ページ程のペラペラの作品。そこにはまさかのディストピアが描かれる。
お話は『西遊記』を下敷きにした未来。五十九彦(悟空)と三瑚嬢(沙悟浄)、蝶八隗(猪八戒)の3人が人工頭脳・天竺の暴走を食い止めるために旅に出る。「自然」はこの世界を守るために人間を壊滅させる。暴走したのは人間の方でそれを自然が食い止める為、ということだ。その手助けを3人がする。彼らは先生を探し出す旅に出る。それは同時に世界を救うための旅だったが、、ヒトは間違えてしまったのだ。
これはちょっとしたおとぎ話であり寓話である。絵本を読むようにページをめくっていく。色鮮やかな挿絵もたくさん入っている。
僕たちはこの物語(ストーリー)を読むことで「何か」を得る。改めて思う。僕たちが小説を読むのはそこに大切な物語があると信じるからだ。我々は『物語』を必要としている。生きている理由を求めるとき、物語を欲する。物語があれば納得する。この小さな作品はそんなことを改めて教えてくれる。