
だから、気にしないで結構です、と言いたいところだが、そうはいかないのが人の心か。SNSでディスられたら気にして当然。「じゃぁ見るな」と言われても気になる人はいるのだろう。見たらいい気はしないのに。僕は他人にあまり興味ないからエゴサーチなんかしない。だいたい動画配信とかも見たことないから、ここに描かれることはまるでわからないし。
だけど他者からの悪意という意味でなら理解できる。これは4つのエピソードで綴られる短編連作長編というよくあるパターンだ。4人の視点から彼女たちの見た世界が描かれる。
動画配信インフルエンサー、ネットで活躍する人を見つけてきて書籍を作る編集者、衛星放送番組の契約社員、アイドル脱落者。SNSの夥しい情報の渦に巻き込まれて何が正しいかわからない中、結局ここには何もない。幻のようなものに翻弄されて自分を見失う。この小説を読むことが虚しい行為に思えてきて、最後は流して読んだフリして終えた。