なかなか刺激的な設定の作品で、高校生がこういう題材に挑むというのが興味深い。死刑囚が主人公で、彼女は医療現場で6人の患者を死なせた。そんな彼女の心の闇を描く。これはとても難しい芝居だ。こういう台本にチャレンジすようという心意気は買いたい。
基本設定は、死刑が確定している彼女のもとに面会に来た牧師と研修生が彼女を追い込んでいく、という話なのだろうが、これはサスペンスなのだから、そこにはもう少し緊張感がなくてはならない。だが、芝居が淡々としていてメリハリがない。だから退屈してしまう。もっとドキドキさせて欲しかった。
既製の台本だから手を入れることは出来ないのかもしれないけど、犯人の動機も明確にならないし、密室でのやりとりを通しての展開も甘い。何が問題なのか、お話を通して追求していく過程がもっと畳みかけるように描けたならよかったのだが、そうはならない。役者たちは難しい芝居に取り組みよく頑張ってはいるけど、お話の表面をなぞっていくだけで精一杯という感じだ。70分が長く感じられるのがつらい。