今のアメリカ映画界ではマーブルコミックの映画化がもう常態で、毎年何本となく公開される。DCコミックスも含めてヒーローもののオンパレードだ。別に嫌いではないから見るけど、さすがに飽きてきた。日本映画もコミック映画化ばやりで、少女マンガの花盛り。いずこも同じ。でも、いくら工夫を凝らしても、たかが知れている。そのうち飽きられるだろうとは思うけど、あちらも商売だからあの手この手を繰り出す。
今回の『アントマン』はヒーローがミクロの世界で戦うというパターンで、こういうのは『ミクロの決死圏』から『ミクロキッズ』まで今までもたくさんあったけど、一応ヒーローものとしては新機軸か。
昨年公開されて今年DVDになった。劇場公開時はさすがに見逃したけど、今、改めて見てみると、これはこれで悪くはない。ストーリーは単純で、前半は見ていてかなり退屈したけど、クライマックスに突入したらさすがにあの手この手で楽しめる。今までのヒーローものとは一線を画する。ファミリー映画の体を為す。バトルシーンもほかの映画よりも短い。さらには、アントマンが敵の超人と戦うという単純パターンではなく、ミクロになって敵のアジトに忍び込み、破壊工作するというパターン。さらには、アリたちを従えて、団体戦で戦う。その辺も目新しい。彼はこの後、アベンジャーズの一員になるみたいで(4月公開の『キャプテンアメリカ シビルウォー』に登場するようだ)、他のヒーローと一緒に戦う時にはきっと地味だから目立たないだろうな、と気の毒。
でも、単体としてこの映画を見たなら異色で、楽しめる。小さなアリたちが大挙して登場し、小さな世界を大スクリーンで奥行きを利用して見せるパターンで3Dでもきっとそれなりには新鮮だったのだろう。(僕が見たDVDは3Dヴァージョンではない)