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映画・演劇のレビュー

『GF*BF』

2013-04-02 20:24:18 | 映画
こういう青春映画が見たかった。話自体はけっこうシビアだけど、心に沁みる。高校時代から始まり、20年間に及ぶ3人の軌跡が描かれる。男2人、女1人という黄金のパターンなのだが、3人の気持ちが、微妙なところでどんどんすれ違う。実は男同士も好き、というのも、なかなか。でも、ホモもの、というのではない。

 2人の男がひとりの女の子を同時に好きになる。そこから3人の愛情物語が始まる。愛情と友情の板挟みに悩む青春映画は枚挙にいとまがない。だが、これは男同士が自分たちの想いを秘めたまま過ごす時間を描くことがメインだ。板挟みになる女の子は実は薄々気付いている。でも、3人ともそこには封印して、長い時間を過ごす。幼馴染の2人の恋は切ない。そこに遅れてもうひとりがやってくる。2人の男の子の間に立つ彼女はどうしようもないむなしさを感じる。

 3人が3人とも本当の気持ちを包み隠したまま、黄金の高校時代、怒濤の大学時代、さらには大人になり、それなりの社会的地位を持ってからの今、といういくつもの時代を生きる。いくつもの時間を通り過ぎていく。その先、ようやくひとりの彼は自分がゲイであることをカミングアウトするが、それでも、2人の男たちは結ばれない。なぜなら、彼らは2人とも彼女のことが大好きだから。こんないびつな関係がこの映画のなかでは描かれる。それがなんとも切ない。

 高校時代、幼馴染ではないほうの彼に告白される。そして2人は付き合う。やがて、彼はほかの女と結婚する。でも、2人の付き合いは続く。(それって不倫じゃないか)でも、彼女は、本当は今もずっと幼馴染の彼の方が好きなのだ。そのことを彼ら2人は知っている。なんて面倒くさい奴らだろう。しかも、男同士も好き合っているし。

 これはそんなこんなの3人の20年にわたるドラマなのだ。生きていればいろんなことがある。高校時代から、大人まで、仲のいい周囲の友達も含めたドラマは、どこにでもありそうであまりない。昨年の『僕らがいた』がよく似たタイプの映画だと思うけれども、どうしてもどこかにポイントを置いてしまい、それ以外の部分はそこから派生したドラマという感じで、バランスが取られることが多い。だが、この作品はそうではない。高校時代だけが中心になることなく、それぞれの時代が等価に描かれている。そのことがとてもおもしろい。友情を描く大河ドラマなのだ。



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