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映画・演劇のレビュー

キノG-7『夢ノ旅路  竹内銃一郎集成Ⅰ』

2017-10-26 21:05:44 | 演劇

 

 今年の五月、突然企画を立てて、速攻実現したようだ。しかも、この10月をスタートに来年5月まで、6回シリーズで、なんと40年間に書いた60本の戯曲の中からセレクトして「解体、再構築して仕上げる。白熱の70分」(チラシの文句をそのまま書いた)の第一回である。

 

4作品を取り上げ、長編だけではなく、短編も含めたリーディング。竹内さんも含めて5人の役者たちが集結した竹内ワールド集大成。なのに、このフットワークの軽さ。作家の個人全集のような感じなのに、それをこんなにもコンパクトにまとめ、ささやかに公演する。鳴り物入りの企画とは違い、本人が好きでやっている突発的な趣味の範囲にとどめたモノ、というスタンスが素晴らしい。竹内さんのような大家が、こんなにも軽やかで楽しく、こんな豪華な企画を実現するって凄い。

 

今回は、『東京物語』(保さんが、この2人芝居のブレーキとオリーブを1人で見せる)からスタートして、短編『春なのに』(ほぼ、そのまま全編の上演らしい)、近作『満ちて』(部分)を経て、ラストは中編『眠レ、巴里』のラスト10分まで、1時間強のショウケース。冒頭の1人芝居と同じようにラストの武田操美さんも一人芝居で二人を演じる。

 

少人数によるリーディングであること、また、狭い空間での公演であることを生かし、親密で、自由な舞台を作り上げた。部分を通して全体を伝えるのは難しい。しかし、作品自体の持つテイストを伝えることは出来る。ダイジェストではなく、無理なく切り取りさらりと提示するさりげなさ。それでいいという姿勢を貫く。この「竹内ワールド」で真剣に遊ぶ、って感じがなんだか素敵だ。

 


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