10年続いた應典院舞台芸術大祭space✕drama○のトリを飾るのが、遊劇舞台二月病だということが、なぜか晴れがましい。別に関係者でもない僕がそんなふうに喜ぶのは、お門違いなのだが、でも、彼らが芝居を始めた最初の頃からずっと見てきたから、しかも、立ち位置がかなり危うい劇団だと思いながら、だからこそ、応援してきたから、嬉しい。こんなふうに立派になって、なんて父親目線だ。
今回の中川さんはいつも以上にリキが入っている。力が入りすぎて空回りするほどだ。でも、まだまだ若手劇団なんだから、それでいい。プレッシャーに負けない。だからといって、張り切りすぎて、自分たちの世界を見誤らない。ちゃんと、変わらず、中川ワールド全開だ。
パチンコを中心に据えた。ギャンブル依存をそこから描く。だが、そこだけに止まらない。様々な社会問題をてんこ盛りにした。いつものように、犯罪や事件を扱い、自分たちの愚かさを浮き彫りにしながら、今回は無力感ではなく、熱い芝居を展開した。終盤の怒濤の展開には驚く。そんなふうに簡単には行くまい。わかっているけど、今はこうする、という作り手の熱い想いが溢れる。
5年前から失業中。家庭は崩壊して、一人暮らし。妻子に愛想尽かされた。ケースワーカーとして、いろんな人たちに接してきた。ギャンブルなんか、やらないと思っていた。そんな主人公の男を、今回ももちろん松原佑次が演じる。惨めな男が最後の勝負に打って出る。それがなんと、CRケースワーカー。なんだ、それ、って感じ。この荒唐無稽の設定から、ラストまで一気に駆け抜ける。中川真一渾身の力作。