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映画・演劇のレビュー

『マリアンヌ』

2017-02-17 00:09:55 | 映画
ゼメギスがまたやってくれた! こういうクラシックな映画を平気で撮れるのは今の時代、彼くらいしかいないのではないか。古典的なラブロマンスである。戦争、悲恋、サスペンス。昔、ハリソン・フォードが『ハノーバー・ストリート』という映画に出たけど、あの時ですら、今時こんな恋愛映画作るか、と感心したほどだ。あれからもう30年以上経つはずだ。21世紀にこれをやりきってくれるなんて、普通じゃない。



ただの戦争恋愛映画である。美男美女のラブストーリーだ。『カサブランカ』である。お話がではなく、舞台が、なのだが、明らかにあの映画を意識している。現代版『カサブランカ』なのだが、時代背景は同じような時代(というか、まるで同じ1942年)で、お話も同じような定番。でも、作られた時代が違う(あれはリアルタイムの1942年に作られている!)から、ふつうならこの映画は呆れられて無視されて笑われても仕方ないようなアナクロ。だが、ロバート・ゼメギスである。そうはさせない。何のひねりもない映画で、ド・ストライクで、なのに感動させる。ありえない映画なのだ。これはやはり『マグニフィセント・セブン』と同じだ。



冒頭の砂漠に落下傘で降りてくるシーンからドキドキする。これは、「さぁ、今から映画が始めるよ」というサインだ。そして、町に入ってきて正装したブラット・ピットが初めて彼女(マリオン・コティヤール)と出会うシーンへと、ここから一気にお話の世界に連れていかれる。モロッコからイギリスへと舞台を移す後半へと、堂々たるタッチで王道のドラマを展開していく。こんな古臭いお話に乗れるはずもない、と思うだろうが、見事乗せられるのだ。2時間4分。映画のロマンに酔う。切ないクライマックスの後、ラストの2つのシーンが素晴らしい。手紙の場面と、成長した娘と手をつなぐブラピの後ろ姿で締める。まさにこれこそが映画のロマンだ。
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