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映画・演劇のレビュー

『マグニフィセント・セブン』

2017-02-17 00:12:21 | 映画
公開から3週間目に突入して、どこの劇場でも1日1回から2回上映になっているようだ。僕は実は公開の初日に見に行っていた。今、映画はヒットしないと、一瞬で劇場から消える。まぁ、そんなこと、今に始まった話でもないけど、それが以前以上に極端になっているようだ。しかも、この映画のようなオールスター娯楽活劇ですら、そうなのだから驚くしかない。最初から梅田では初日だけ大きな劇場で上映されることが決まっていたから、僕も万難を排して27日に行ったのだ。小劇場の芝居以上に映画のほうが見に行くのが大変なことになるような時代が来るとは思いもしなかったけど、実際そういう状況にある。



『イコライザー』を始めとしていつも外さないアントワーン・フークア監督の新作でもある。黄金コンビであるデンゼル・ワシントンと今回もタッグを組んだ。原作はもちろん黒澤明の大傑作『七人の侍』である。手に汗握る西部劇巨編だ。エンディングではなんと『荒野の七人』(原作となるのは黒澤よりもこちらのほうなのだ!)のテーマ曲がちゃんと流れる。もう、テンション上がりまくり。これは往年の映画ファンならみんなが喜ぶ映画なのである。



実を言うと、この映画のことを今まで書かなかったのは、書くのを忘れていたからだ。まだ、見ていなかったわけでも、つまらなかったわけでも当然ない。つい今さっき、この映画のことをまだ書いてないんじゃないか、と気づいたのだ。見た時には、期待通りに凄く面白くて、大興奮。もうそれだけで大満足したからだろう。しゃらくせい感想文なんかいらねぇや、と思ったのかもしれない。



要するに映画は、まず面白ければそれだけでいい。(それは昨日見たロバート・ゼメギス監督の最新作『マリアンヌ』も同じだ。)実は今、『マリアンヌ』のことをここに書こうとして、「いや、待てよ、これと同じように文句なしで面白かったあの『マグニフィセント・セブン』のことを書いてないんじゃないか!」と思ったのだ。ということで、時期は失したが、今少しここに書こう。でも、おもしろい、ということくらいしか、今頭には浮かばないんですけど、どうしようか。



7人のガンマンが集められるまでのシーンも手際よい。村人たちが悪者たちに苦しめられる。夫を殺された女が町(村というのは、なんか違うかぁ)を救うため、腕に自信のある男たちを探しに行く。7人を連れて町に帰る。町の人と協力して7人は悪党どもと戦う。もう、わざわざ書くようなストーリーではない。これはもう定番で黄金の展開だ。派手なアクションシーンの連続で、「手に汗握る」という手垢に付いたことばがこんなにもぴったりくる。リアルなCG映画ではないのもうれしい。冒頭にも書いたけど、こんなにも文句なしで面白い映画にまるでお客さんが来ないというのが今の映画界の現状だ。なんだか、寂しい。



今の時代だからこそ、こういう古色蒼然としたアナクロ映画がどうしても新鮮なのだ。もう一度娯楽の王道とは何なのか、考えたい。温故知新なんていうのも、なんだかなぁ、だけど、結局はそういうことなのか、と思った。イーサン・ホークとイ・ビョンホンの死ぬシーンなんか、『明日に向かって撃て!』を思い出した。
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