習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ユメ十夜』

2007-02-07 23:25:57 | 映画
 かなり楽しみにしていた。漱石の『夢十夜』をベテランから若手まで11人の監督の手でどんなふうに料理されているのだろうかと、出来上がりをずっと待っていた。なのに、あまりと言えばあまりのくだらなさ。情けない。こんな映画をどうして作ったのか。けっこうお金もかかっているのだが。

 自由きままにするってこんなにも愚かなものを作ることになるのか、と思うと悲しくなってきた。見た目だけの派手さを追ったくだらないSFXの多用。原作に対するリスペクトなんて一切ない。漱石先生が草葉の陰で呆れてるぞ。まあこんなものを自分が書いた小説とは思いもしないだろうが。

 2話目までは(実相寺昭雄と市川昆ですから)それなりに見れたが、その後どんどん酷くなり、5話以降は目を覆うばかりだ。この人たちはあの原作をどう読んだのだろうか。まともに読み込む力がないのなら、映画なんて作らないほうがいい。

 せめて、原作そのままで映像化するくらいの誠意を見せてもらいたかった。大好きな第10夜が、あんな無残なことになってしまったのには、怒りを通り越して、もう、思い出す気力もない。なかったことにするしかあるまい。山口雄大がカントクすると聞いた時から覚悟は出来ていたが、ここまでひどいなんて。悪夢だ。

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