学生劇団の芝居を久しぶりに見る。偶然先日創造館で芝居を見たときに仮チラシをもらって時間があるなと思った。じゃぁ、行きましょうとスケジュールを開けた。まぁなんとなく。(当日入り口で立派なチラシとチケットを特製のクリアファイルと共にもらった! いろんなところに手を入れている)
そういえば昨年もこの時期に同じように劇団ちゃうかちゃわんを見ていた。同じようにたまたまもらったチラシを見て、同じ芸術創造館に行く。毎年この時期に学外公演をすることにしているのだろう。気合いの入った舞台美術はこれから始まる芝居を期待させる。舞台下手のピラミッド型の空間がなかなか凄い。それに引き換え上手側の部屋は少し手抜き。この空間がメインのアクティング・エリアになる部室だ。
芝居はタイムマシンを手にした大学のSF同好会のメンバーたちの右往左往を描くドタバタ・コメディ。あまりのたわいなさに少しショックを受けた。この設定を使って何をしようとしたのか。まるで伝わってこない。最初から最後までただドタバタしているだけで終わる。
夏休み最後のお別れ会という名のいつも通りの飲み会。サークルの部室で何をするわけでもなく、ダラダラと集まってくる暇を持て余す部員たち。彼らの夏休み、たわいない日常を描くという設定はいい。だけどそこに突然現れた非日常であるはずのタイムマシンというまさかの異物がまるで上手く機能しないって何なんだろうか。そこから始まる何か、それこそがこの芝居が描くべきことではないか。だいたいタイムマシンがあまりにさりげなく彼らにとっては特別なものではなく生活に参入するって何? しかも自転車だし。さらにはその使い方があまりに杜撰で驚きもない。故意にしているのか、それともタイムマシンなんてスマホ程度のアイテムなのか。しかも彼らはスマホもない1984年の大学生である。
後半になると2024年の彼らの後輩たちもお話に絡んでくるが、このふたつの時代をつないで何をしたかったのか、それもまたよくわからないまま終わる。いろんなことを取り込むことでお話はどっちつかずの迷走をする。だいたいあの立派なセットであるピラミッド型のピラミッド(やはりあれはピラミッドだった!)もまるで機能しない。それに突然現れたピラミッドという話の展開なら最初からあそこにあるのはおかしいし。
自分たちの頑張りが空回りしていくのが、残念だ。学生劇団はまず自分たちが楽しめる芝居でいいのかもしれないけど、せっかくの外部公演だから、大人を驚かせるような芝居を見せてもらいたい。このお話はヨーロッパ企画の『サマータイムマシンブルース』のコピーだけど、オリジナルには当然及ばない。