『岸辺の旅』と『クリーピー』という2本の傑作の間に撮った作品だ。今、絶好調の黒沢清監督がフランスで撮った。もちろん、それはフランスロケという意味ではなく、「フランス映画」ということで、キャストもスタッフもそうで、これが純粋にフランス語で作られたフランス映画ということだ。もちろんそんなことは、今の彼にとって特別なことではなく、世界的な巨匠になった今、彼が海外でも映画を作ることは、当然のことなのかも、しれない。
これはオーソドックスな恋愛映画で、サスペンス映画でもあるし、いつものようにホラーでもある。いや、ホラーというのは憚られる。怪談、というくらいのほうが適当だ。こういう映画を黒沢が撮るということに驚く。もちろん、2時間11分、ずっと緊張感は持続する。何が、ここで起きているのかと、ドキドキさせられるのは、いつもと変わりない。しかし、いつものように怖くはない。さらには破綻もない。現実を突き破って、その先に挑むようなエネルギーや過剰さはなく、とても穏やかで、静か。定番で古典的な恋愛がそこには描かれていく。昔懐かしいヤノット・シュワルツの『ある日どこかで』のような感じだ。でも、そこは黒沢。ただの甘いラブストーリーにはならない。
ダゲレオタイプの写真なんていう素材からしてクラシカルで、幽霊との恋という、昔からよくある怪奇譚のスタイルを踏襲する。必要以上の恐怖を煽らないのも、いい。でも、黒沢映画としてはこれではいささか物足りないことは確かなのだ。だが、この場合は仕方ないだろう。ラストもあっさりしていて、「えっ?」って感じ。少し拍子抜けしてしまう。意外性ではなく、「あれで、おしまいなの?」という感じ。
下品でえげつない話にはしないから、これはこれでいいのかもしれないけど、この映画の前後の2作品の完成度と比較してしまうから、おとなしすぎて、ちょったなぁ、と思うけど、やっぱり、これはこれでいいのだ、と思うことにした。なんだか歯切れが悪い。
これはオーソドックスな恋愛映画で、サスペンス映画でもあるし、いつものようにホラーでもある。いや、ホラーというのは憚られる。怪談、というくらいのほうが適当だ。こういう映画を黒沢が撮るということに驚く。もちろん、2時間11分、ずっと緊張感は持続する。何が、ここで起きているのかと、ドキドキさせられるのは、いつもと変わりない。しかし、いつものように怖くはない。さらには破綻もない。現実を突き破って、その先に挑むようなエネルギーや過剰さはなく、とても穏やかで、静か。定番で古典的な恋愛がそこには描かれていく。昔懐かしいヤノット・シュワルツの『ある日どこかで』のような感じだ。でも、そこは黒沢。ただの甘いラブストーリーにはならない。
ダゲレオタイプの写真なんていう素材からしてクラシカルで、幽霊との恋という、昔からよくある怪奇譚のスタイルを踏襲する。必要以上の恐怖を煽らないのも、いい。でも、黒沢映画としてはこれではいささか物足りないことは確かなのだ。だが、この場合は仕方ないだろう。ラストもあっさりしていて、「えっ?」って感じ。少し拍子抜けしてしまう。意外性ではなく、「あれで、おしまいなの?」という感じ。
下品でえげつない話にはしないから、これはこれでいいのかもしれないけど、この映画の前後の2作品の完成度と比較してしまうから、おとなしすぎて、ちょったなぁ、と思うけど、やっぱり、これはこれでいいのだ、と思うことにした。なんだか歯切れが悪い。