仕事を解雇されたチェ・ミンシク演じる男が、事故で死んだ出稼ぎの同僚の家族のもとを訪ねて、ネパールまでやってくる。家族に彼の死を知らせ、遺骨を渡すためなのだが、ヒマラヤの村に辿り着いた彼は、彼の家族や、村人たちの優しさに触れ、本来の目的を果たせなくなる。映画は、ただ、それだけのことが静かに描かれる。韓国人はチェ・ミンシクだけしか出ないし、ネパール人は当然韓国語を話さないし、彼らは寡黙だから、ほとんど言葉を発しない映画になった。
韓国からネパールまで、そして、ヒマラヤへと。旅のスケッチを隠し撮りでフイルムの収めただけのような味も素っ気もない映画を装う。ここまで突き放した作り方もめずらしい。前半の30分は、死んだ男の住んでいた村に着くまでのドキュメント。中盤の30分はその村での時間の記録。終盤30分でようやくドラマがあるけど、それは彼がここを去っていくためのきっかけであるから、この映画は彼がこの村にやってきて、ここから去っていくまでの、ただのスケッチでしかない。
主人公に感情移入するようにはドラマは綴られない。あくまでも客観描写で貫かれる。そのあまりの意図的なそっけなさは、少し鼻につくけど、でも、こういう映画があってもいい、と思わせる程度だ。視点にはぶれがないのがいい。その頑固さが僕は好きだ。だが、残念ながら、そのことがこの作品を傑作へと押し上げる、ということはないのだが。監督はチョン・スイル。彼の映画は初めて見るが、こういう姿勢は悪くはない。
韓国からネパールまで、そして、ヒマラヤへと。旅のスケッチを隠し撮りでフイルムの収めただけのような味も素っ気もない映画を装う。ここまで突き放した作り方もめずらしい。前半の30分は、死んだ男の住んでいた村に着くまでのドキュメント。中盤の30分はその村での時間の記録。終盤30分でようやくドラマがあるけど、それは彼がここを去っていくためのきっかけであるから、この映画は彼がこの村にやってきて、ここから去っていくまでの、ただのスケッチでしかない。
主人公に感情移入するようにはドラマは綴られない。あくまでも客観描写で貫かれる。そのあまりの意図的なそっけなさは、少し鼻につくけど、でも、こういう映画があってもいい、と思わせる程度だ。視点にはぶれがないのがいい。その頑固さが僕は好きだ。だが、残念ながら、そのことがこの作品を傑作へと押し上げる、ということはないのだが。監督はチョン・スイル。彼の映画は初めて見るが、こういう姿勢は悪くはない。