伊藤俊也監督の久々の新作である。東条英機を描いて物議を醸した『プライド』以来ではないか。しかも、今回の素材は伊藤監督お得意の社会派で、事件ものだ。これを見逃すわけにはいかない。『誘拐報道』の感動を再び、と期待して見たのだが、まるで乗り切れない映画だった。こんなはずではない。我が目を疑う。だが、これが事実だ。
大体、もうこういう素材自体が古い。80年代ならともかく、今の時代にこういう刑事物は合 . . . 本文を読む
ロードムービースタイルの短編連作。と、いうか、1話完結の7話からなる長編作品。ひとつの場所で、ワンエピソード。読み切りスタイルというのは、昔よくあったTVドラマ的で最近の小説では珍しいパターンではないか。TVドラマでも最近はこのパターンは減っている。
佳代が移動式キッチン車に乗って日本中を旅していく。15歳の時に居なくなった両親を捜しながら。様々な場所で店を出し、いろんな人たちと出会っていく . . . 本文を読む
仕事を解雇されたチェ・ミンシク演じる男が、事故で死んだ出稼ぎの同僚の家族のもとを訪ねて、ネパールまでやってくる。家族に彼の死を知らせ、遺骨を渡すためなのだが、ヒマラヤの村に辿り着いた彼は、彼の家族や、村人たちの優しさに触れ、本来の目的を果たせなくなる。映画は、ただ、それだけのことが静かに描かれる。韓国人はチェ・ミンシクだけしか出ないし、ネパール人は当然韓国語を話さないし、彼らは寡黙だから、ほとん . . . 本文を読む
『東京バンドワゴン』の小路幸也が、音楽をテーマにした短編集に挑む。読んでいて、何度となく涙が出そうになる。こういうハートウォーミングってあざといな、と思いつつも、なんか胸が一杯になるし、とても正直な話なので、素直に泣いてもいいぞ、と思う。とてもいい気分にさせられる。
音楽っていいな、と思う。音楽なんてなくても生きてはいけるけど、音楽があるから、生きていける。老いてボケが始まっているミュージシ . . . 本文を読む