習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『書道ガールズ!』

2011-04-23 22:17:33 | 映画
 四国、愛媛県のとある高校のおんぼろ書道部。そんな彼女たちが書道パフォーマンスに挑戦し、町おこしに貢献する。映画としては、ちょっと緩い作り方で、青春映画としても中途半端だ。書道部の面々(8人)は、しっかり色分けされているけど(男子3人は完全に色物だし、添え物でしかないのだが)ある種のパターンでしかない。あれだけ墨を、何度となく盛大にまき散らすのも、どうだかなぁ、とは思う。

 シャッター商店街の活性化とかも一応描かれるけど、それも中途半端で、あの程度の描写なら、もっと軽く流した方がいいのではないか。どこにポイントを絞っているのやら、よくわからないまま、この手の映画としては破格の2時間という長尺に仕上がった。

 何がやりたかったのか、まるでわからない。全国から4つの高校が参加して行われる書道甲子園のシーンが一応のクライマックスなのだが、そこに向けてドラマが流れていくわけではない。4校のそれぞれのパフォーマンスはおもしろいし、目を惹くけど、どこが優勝するのかをハラハラドキドキ見守るというわけではない。このコンクールの描写が、なんだか言い訳程度にしか描かれないのは不思議だ。全体の構成ミスとしか言いようがない。大体書道パフォーマンスというものが、どういうもので、全国的にどういうふうになっているのかも、わからないし、地方都市のたったひとつの高校が呼びかけて開催されたイベントにまるで全国大会のような名前をつけて大々的に行われるというその仕組みもよくわからない。成海璃子は相変わらず『武士道シックスティーン』の続いてここでも部活の似合う少女をのびのび演じていて、よく頑張っているのだけど、この映画自体はこれでは失敗だろう。

 全体の構成はフラットで、それはそれでおもしろいのだが、それじゃあ、この映画は何が見せたいのかと突っ込みを入れると、答えに困る。寂れていく地方都市の悲哀とか、そんなものをそのまま見せて終わらされても、困る。この映画を見た人たちが元気になる、というのが、この手の映画の定番なのだが、そんな感じでもないから、やはり戸惑うしかないのだ。


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