未公開作品でが、DVDで発売されていた。こういう地味だけど大切な映画が劇場公開されないのが現状だろう。『テルマ&ルイーズ』から25年の歳月が経ち、スーザン・サランドンも70代に突入する。老境に達した彼女が、ここでも危なっかしい冒険を繰り広げる。
だが、こちらは40代の暴走を描いたあの映画のような過激さはない。でも、ここに描かれる70代の青春も興味深い。夫を失った女性が抜け殻のようになっている。これから先の人生をどう生きたらいいのかわからない。そんな彼女が娘の住むロスにやってきてお節介を繰り広げる。娘は母にうんざりしている。でも、彼女はそれがわからない。(いや、わかっているのかもしれないが、そこにすがりつく)
母と娘の相克を中心にして、彼女がそこからどう脱するかが描かれる。コメディでもないし、シリアスでもない。等身大の日々がそこにはある。さびしさを認めないで、どんどんつき進む。おせっかいの限りを尽くし、うんざりされる。でも、気付かないふりしていく。痛ましいけど、彼女はそうするしかない。立ち止まると崩れてしまうからだ。いくつのなっても、人生は続く。そこでどう生きればいいのかが、問われる。誰かに頼るのではなく、自分を生きる。そうすると、誰かは自ずとやってくる。娘との和解、新しい恋、そんなのはただの結果でしかない。この先どうなるかなんて、わからないけど、だから面白い。絶望に向かうのではなく、ここには見えない未来に向かうドキドキがある。これは元気にさせられる映画なのだ。