良いお店は電話の応対も大事だが、商品のおすすめの仕方はさらに大事である。
「とても美味しい白カビのチーズが有ります、試してみませんか」
「桃のジャムをつけても美味しいですよ」
それ以上は語らないのも作戦である。
このチーズを語るとすると、
「エクスプロラトゥールという名前のチーズで英語でいうエクスプローラーであって何やらコンピューターのソフトのような名前なのですが、探検者とかいう意味のチーズです」
「ラベルには北朝鮮のミサイルみたいのが印刷されています」
「トリプルクリームといって乳脂肪がたっぷりなんです」
説明されると食べたくなくなりそうなセンスの悪そうなチーズなのです。
しかし桃のジャムに惹かれてでも食してみると、やたらに美味しいチーズなのです。
知っていることを全て話したがるクアトロの父もここは自制するのである。
「とても美味しいカリフォルニアワインもありますよ」
「ケンウッドと云ってカーオディオみたいな名前なんですけど・・・」
次の商品の勧め方の作戦を練るクアトロの父だ。