ホトトギスやカッコウではないが、刷り込みが起こった。どうやらrugbyは、「おかあさんだ!」と学習したらしい。顔を脇のしたに入れて安心して眠る。ときおり目玉を動かしている。内側にちいさなぐりぐりが伝わった。
わざと、大きくふかく息をしてみる。当然、母犬もどきの胸やおなかが動いて彼に伝わる。
すると「フーッ」と肩をあげ大きく吸ってはく。くりかえすたび、応えるようにそれは続いた。きっと母犬のあたたかさと、なつかしい息づかいを確かめていたに違いない。
毛が短いせいか、すごい寒がり。かわいそうなくらいぶるぶる震える。以後、ヒーターの前にしっかり陣取り動こうとしなかった。
4月(生後3ヶ月過ぎ)あたたかくなって初めて外に出る。不安気なあしどりで地面をあるいた。何もかも珍しい。月面着陸の飛行士のように、ひょいひょいとバランス悪くはねるように歩いた。土の感触を愉しそうに確かめた。
rugbyはときおり顔をあげ、目をほそめ、ひかりに向かった。鼻をひくひくさせる。うららかな陽差しを、そのにおいを、花の香を感じているようだった。嬉しそうだ。生きるよろこびを共有する。それほど大げさに思ったのも忘れがたい。