昨年のこと…
晩夏、梔子の枝にひっかけた、花びらのようにうすいものをはじめて見ました。
窮屈になった上着… 乳白色の剥片に転写された鱗模様 五ミリほどの手までしっかりわかる。こわごわと、やがて嬉しくなりました。からびた細いゆびさき まるで蕊のようです。
調べると、 「 ヘビはくつ下をぬぐように (…なんて愉しい)
一度にすっかりぬぎすてる 」 「 とかげは皮膚を破りとるようにして ぬいでいく。指先の皮がむけないままだと 骨折してしまう 」
いずれも児童書(ビジュアル博物館 爬虫類 同朋舎)(どんな生きもの はちゅう類偕成社より)
なまなましい写真を見て 気絶しそうでした。
長雨がようやくあがった すばらしい晴れの昼さがり、しめった土いろの五㎝くらいのトカゲが現れた。近くの石のうえでは母親がときどき手を結んだり、開いたりしながら、秋の陽を満喫というかんじで温まっています。
とてもあわい萌葱と浅黄に、うすいマゼンタを散らしたようなシックな装い。近づくと、じっと動かない。緊張しているようす。全身からぴりぴり伝わってくる。こちらもどきどきしながら目を合わせた。
おどろかせてゴメン!
マンスフィールドは 「 トカゲは眼で物音に聞き入っている 」といったけど、うんうん、ほんと…とうなづきました。「 …それから私が眺めているのに気がついて、念入りにウインクしたと思うと… 」 なんて書いている。 そんな彼女の手紙がすきだ。
そして 今朝、桔梗の葉のうえにみつけました。
月明かりのもと? 朝露にぬれながら? 人目を忍んで? 着替えは厳粛に行われたにちがいありません。
こころやさしい彼のことは、スピルバーグのE・Tにもかさなりました。手まで似ていますから。
写真は ルネ・ラリックのペンダント どれもすてきだ。
右端がトカゲ 胸元でゆれるトカゲは ちょっとゾクゾクする
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