手套テブクロ を脱ぐ手ふと休ヤ む
何やらむ
こころかすめし思ひ出のあり
石川啄木
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・ 脱ぎ捨てられた手袋は 机のうえで しばらくその人のかたちをしていた。
逡巡する想いも 体温も記憶している。 冬の思い出。
手袋の手を振る軽き別れあり 友次郎
・ 春になると 黒いレースに変えた。 丈は短く手首まで。
編み目の奥に明るい肌色が覗いて うたた寝をしている。
若草色のスーツを 引き立ててくれた。
・ 夏 肘の上まである長い手袋を着け、 変身する。 指先が 妖しくうごく。
灼熱の太陽も、 黒い手でかざしてみると 我がものとなった。
何の関係もない画像は 6F