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下町の風情が懐かしい台東区谷中、 この街に多くの著名人、文豪や芸術家が眠っている。
桜のころ 訪ねた街。 風信子忌のためだった。
御殿坂をのぼって左に折れると、 ひっそりとたたずむように朝倉彫塑館がある。 朝倉文夫がこだわって、 7年の歳月を掛け、 自ら設計し建てたもので1935年に完成。
外壁は真っ黒なコールタールが塗ってある。 白の対比がモダンで、美しい。 洋風のアトリエと、数寄屋造り、 純和風の水庭ともバランスよく。 心ゆくまで 朝倉芸術を味わうことができた。 きのうのこと。
五典の水庭
自然のわき水を利用。
五つの大きな石が配され
自己反省の場として設計。
儒教の 五常を象徴している。
・仁も過れば弱ジャクとなる
・義も過れば頑カタクナとなる
・礼も過れば諂ヘツライとなる
・智も過れば詐イツワリとなる
・信も過れば損ソンとなる
作品や室内は撮影禁止。
せめて中庭から
四季折々に白い花が咲く庭の紅一点、
満開の百日紅が映っている。
錦鯉がジャンプし、緑陰を緋鯉が泳ぐ。
重要文化財 「墓守」を あらためて鑑賞、 つよい精神性を感じた。
「兎の群」
「臥したるスター」 大きな犬が腹這いになった。 所在なさが眼にありありと。 犬には弱い、 描きはじめると、 スケッチもダメと注意をうけた。
「大隈重信侯像」 「三相」 三体の裸像。
彫塑家 朝倉文夫は、 無類の猫好きで 多いときは15~6匹も飼っていたという。 優雅でしなやか、 人に飼われていながら失わない野性味、 神秘性などに惹かれた。 百態の猫の彫塑を残そうと、生涯にわたり制作していた。
じっとしていない、 動くものを良く見つめただけでは済まされない。 深く記憶にとどめ、 理解し、咀嚼しないと。
瞬間をみごとに捉えている。 厳しい観察と 表現に感嘆します。 どの猫も、まるで生きていて。 今も しなやかで、あたたかいのです。
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「親子猫」 仔猫2匹 あごを載せる親猫の息づかい。気遣い。 眠る仔猫の愛らしき柔毛、 やわらかな足裏、 肉球のさくらいろ。 (写真 絵はがきから)
「よく獲たり」 鼠を銜えた瞬間… よくやった、 落とすなよ! 敏捷さと野性 張りつめた美しい筋肉
「たま」 甘えるしぐさ 鈴を鳴らして。 喉を鳴らして 撓うからだ。踊るようだ
「仔猫の群」 仔猫が5匹かたまって。 微笑を誘う
「居眠る猫」 「産後の猫」 出産を終え 身も心もすっきりしている。 安堵する顔に責任感も。 やつれた面ざし。
「餌食む猫」1942 シッポを丸め 少し硬いものを噛むすがた、 一心に噛む、そのたんびに 右へ傾くあたま。
「吊された猫」 「のび」 ぐーぅっと伸びて 顔がゆがんだ 笑ったような猫の顔
「はるか」 耳のあたりを掻こうとして、 ふと動きが止まった。
片足を投げ出したまま、 もう一方は内側に詰めてある。 両前足は直立させ、 腹に寄せ踏ん張る。 猫は遠くをみつめている。 何か見つけた。
伸ばした足をまだ上げずにいる。 あごを挙げ、 頭に足を掛けるか、どうかの瀬戸際、 一瞬のこと。
こちらも 息を止める。 とっくに獲物は去った。 猫は自分の内面を見つめている。 ぼんやりと…
猫と深い付きあいをしなければ これほどのものはできない。 卓越した描写力が胸を打つ。
日暮里、 朝日を眺める屋上に大樹が茂り、 甕で烏が行水をしていた。 盛大なしぶき。
メモ <朝倉彫塑館> 彫塑とは… 明治以降 西洋からやってきた新しい技法を彫塑と言った。
木や石を、鑿ノミや槌ツチを使って削り、外側から形をつくっていくのが … 彫刻
心棒(支柱)に、粘土や鑞を、手や篦で盛り上げ、内側から形をつくるのを … 彫塑
と 呼んだ。 現在は、両方を含め 広い意味で彫刻といっている。
朝倉彫塑館HPは こちらから
ずっと以前に行った時の記憶を重ねて・・・と言っても、何一つキチンとは憶えていない事に気づきます・・追体験させていただきありがとうございます。
もう一度行ってみたくなりました。
HPで気づいたのですが、耐震性に問題があって木造部分は制限されるようです。 ぎりぎり間に合いました。
今だから見える、よく見えるようになってきたと… 大間に合いの人生です。
「谷中」の文字に惹かれてコメントさせていただきました。
勿論 彫塑館にもカップルや家族連れ、外国の方々。法事の集まりのあと皆さんでと。服装から一目瞭然です。 これは、いいですね。
幸田露伴の「五重塔」もこのあたり、今は礎石跡だけ。 富士見坂からダイヤモンド富士も望めそうですし、谷中探訪、そぞろ歩きも楽しいでしょうね。
家族に叱られながら 油の匂いをまき散らしています。 タールほどは匂いません。
コメントをありがとうございました。