想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

門番乙2号‥

2008-08-08 00:52:24 | 
  いったい何を考えているのか、年季の入った門番ですが
  君はいったいどこの子よ?
  ここんちの子でないことは確かなようで
  ニャーゴと他の猫がわめいたら、すたこらさっさ、塀をつたい向こう側へ
  消えました。

  猫の境界はどこにあるのか? 

  人は国土(領土)というものを定め、ああ、その前にまず国家というのを
  定めているので、こっちからこっちがうちでそっちがそっちでと
  ややこしいことで常にもめていますね。

  すたこらさっさと立ち去った君はまたいつのまにか、ここにきて
  通りを眺めるのだろう、砦の王のような風情で。

  わめいたアンタ(黒猫、まだ若そうな)も、いったいどこの子よ?
  知ってるよ、君んちなら。さっき庭から出てきたんでしょ。
  え、あそこではない? そうか、庭も通りも一続きの通り道にすぎないか。

  「異邦人とは何か」をテーマに綴られた本を読んでいる最中、
  猫にとっての境界は?とふと思ったりした。
  本の内容とは全然関係ありませーん。



  『異邦人のまなざし』 現代書館刊 小坂井敏晶著
   在パリ社会心理学者の遊学記

  小坂井敏晶氏の本業の著書、「虚構」シリーズが面白いので
  この異邦人~も手にとったが、そういうことかと合点がいった。
  研究室と教室、学会内でしかものを考えない学者の本にはまずない視点と
  学際的な柔軟性が、作家ではない現役学者なのにと思っていたので。
  学業に悩める我が甥っ子が読んだらさぞかし喜ぶだろう内容であった。

  人は順調とか予定調和を欲しがるばかりで、人それぞれの本流がある
  ことには気づきにくい。
  本流にいると思い込み、こんなはずじゃなかったと激流に放り出される
  人のほうがよほど多いのではないだろうか。
  流れに乗ることは意外に難しいのである。

  始めから降りている感じ、だからこそ見えるものがあるようだ。
  これは? と思う直感的疑問をつきつめ言語化していく快感、
  それを思い出させる本でもある。
    


コメント
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