想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

日本のいちばん長い日と天皇

2008-08-15 17:42:14 | Weblog
   「日本のいちばん長い日」とは昭和20年8月15日
   国民へ向けて戦争の終結を宣言する天皇陛下の詔
   玉音放送を流すまで一日を、前日14日の御前会議から
   24時間、命がけの一日を再現した映画である。
   三船敏郎など俳優が演じている点ではフィクションだが、
   史実に基づいてドキュメンタリーとして描かれている。
   橋本忍脚本、岡本喜八監督作品。若造必見の映画。
   
   ということは知っていた、20代前半に観たので。
   その後、何年おきかに二、三度観ている。
   若造だけでなくおばちゃんもおいちゃんも必見だと
   思うので、今日はテレビでまた観ました。
   そして今日はこれまでで一番、よくわかりました。
   わかる、というといい感じに聞こえるので訂正すると
   胸に突き刺さってきたということです。

   宮中へ近衛兵師団が軍靴をとどろかせてなだれ込むシーン、
   玉音放送を録音したレコード盤を奪取すべく探しまわり、
   女官の部屋までも踏み込み、衣装行李を開け着物が散らかし、
   放り投げるの乱暴狼藉ぶりに、神話世界を思い出しました。

   スサノオの乱暴に便乗して暴れまくる眷属、八十千部の
   (ヤソチべ)の荒神、悪鬼が高天原を蹴散らして悪行の
   限りをつくす場面です。
   国体国体国体を護持せよーと叫びながら、天皇を擁した
   ワレワレが決起することを誰も止められないのだーと、
   止まりません。一人の上官の思い込みに千の兵が従って
   宮内省の文官を締め上げます。

   大宅壮一(クレジットではそうだけど実は半藤一利作)
   が書いていなければ63年後の今日、この日に
   命を賭した人、けじめをつけた人、守るべきを守った人の
   ことを誰が知ることができただろうと、思いました。
  半藤作品では「ノモンハンの夏」も圧巻、戦争と日本
   がよくわかります。

   旧事本紀を学ぶ前にも観たけれど、今のほうがより深く
   理解できました。それは、マスコミや教科書で知る歴史とは
   違うもっと根源的なことを学んだから。

   昨日はイッセー尾形が力演している「太陽」を観て
   これは三度目ですが、これもなぜか今回が一番よくわかった
   と感じたわけです(桃井かおりが…ちょい変? ファンなので
   前回はたぶんに贔屓目で観たと思うなあ)

   これも終戦処理にあたる天皇と周辺を描いている作品ですが、
   ロシアの監督がなぜこうも天皇という存在を深く理解し
   またそれを作品にまで昇華することができたのか。
   「歌」の意味、それをわかっている日本人が少ないというのに。
   芸術家(監督)は偉いもんだとしみじみしました。

   外国人にわかるのを、日本人がわからないのはそれは生活が
   かかっているからではないかと思うのです。
   この場合の生活とは、食うことであります。

   天皇は食う以前の精神、を表す存在でありますね。

   しかれども臣下が愚かであれば、国は滅ぶということで、
   国体とはなんぞやという議論ばかりしていても、
   命令だからしゃあないと言う者に、では罪はないかと
   振り戻す勇気がないのだから、戦後の一歩が遠いのだと
   思うのです。
   死んだものが浮かばれないというのは、そういうことでは
   ないかと考えました。
   
   母と電話で「命令なら殺すか、喰らうか」という重い話を
   長々としました。誰にも言えなかったこと、言わなかったことを
   マイクを向けられてやっと話したという人ばかりじゃが。
   墓場まで持っていくのも勇気じゃなあ、人は自分を守りたい
   一心でなあ道を外すということじゃ。
   あんたならどうするかい? と聞かれると
   う~む…、うなるばかりのわたくしでありました。

   
   
   
   

 
   
コメント
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