午前9時、さてわたしの命はあと何時間だろうか。
今日一日かぎりのいのちを、どう過ごすか? という問いより
残りの十数時間をどう生きるか? と問いなおし
考えてみるまでもなく、わたくしはわたくしの延長として
ここにいる。そして終わりがくる。
終わり‥
長いトンネルは暗いだろうか。
闇に包まれた夜の森のように、
静かに何かの息づかいを探ろうとして進み
目を凝らしても何も見えないか。
愛しい人のことを考え、会っていないことに気づき
電話をかける。
手紙を書く。
言い残したことはないか、考えるときりがないくらいで
多すぎることは無に等しいことに気づき、書くこともない。
愛していると書くと、あとは白い余白が残る。
余白を読んでくれる人であるならば
会わずともわかりあえる。
今日のいのちをどう生きるか?
いつもと同じです、という答え。
それしか思いつかなくなったのは
死は、いつも隣合わせ、皮一枚で続いているという感覚。
トンネルが終わると、開ける世界。
そこにわたくしの新しい一日がある。