「あんたが あんたの一本のばらの花を
とても大切に思っているのはね
そのばらの花のために時間を無駄にしたからだよ」
「星の王子様」の狐が言ったそうだ。
茨木のりこの「わたしの叔父さん」は摘蕾の話をする。
大きな花を咲かせるために、と。
わたしのバラは、小さな蕾も惜しがって愛おしがって摘まないから
大きな花をみることはできない。
一本に望みを託すという大志のないわたしに、
狐はなんと言うんだろう。
「バラに惹かれるのは、凡人だからなんだよ
犠牲のないバラは、バラじゃないのさ」とでも言うか?
黄色い蕾をつけ、雨に打たれているマルコポーロ、
縁側から見える場所にあり、
意外に打たれ強いのに少し驚きながら眺めています。
バラは雨の多い土地には向かないのです。
この夏は二年ぶりによく降っていて、ここのバラにとっては
初めての試練。
腐らせないようにと、見回るのですが、雨がやまないから
しようがない‥‥
このまま寒くなったりしたら、来年の花が見れるかどうか心配です。
やるだけのことはやろうと、葉を落としてしまったバラの前で
思案しています。

この方は、退屈で退屈で‥‥うらめしげです。